『第74回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)受賞(藤井貞和 著『〈うた〉起源考』)』
藤井貞和 著『〈うた〉起源考』が第74回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞いたしました。
第74回毎日出版文化賞決定のニュース(毎日新聞社)は下記をご参照ください。
[2020年11月3日]『第57回日本翻訳文化賞受賞(吉本素子 訳『ルネ・シャール全集』)』
吉本素子 訳『ルネ・シャール全集』が第57回日本翻訳文化賞を受賞いたしました。
第57回日本翻訳文化賞決定のニュースリリースは下記をご参照ください。
http://www.japan-s-translators.com/taishou.htm
下記のページより詳細ご覧ください。
吉本素子訳『ルネ・シャール全集』
[2020年10月6日]
『『ユリイカ』2020年8月号「特集*今 敏の世界」お詫びと訂正』
お詫びと訂正
『ユリイカ』2020年8月号「特集*今 敏の世界」所収の黒嵜想氏の論考「オヤスミ」におきまして、編集の過程に黒嵜氏による校正の反映ミスがございました。以下に記して訂正いたします。
232頁19行目:
(誤)
——ふたたびベッドに身を投げる。青白く照らされた天井を見る。今日も部屋を片づけられなかった。映画館へ向かう粉川が映っている。まもなくスタッフロールだ。最後まで見切れず下で、ぐにゃぐにゃと残像が浮かぶ。赤いような、青いような、黄色いような。
(正)
——ふたたびベッドに身を投げる。青白く照らされた天井を見る。今日も部屋を片づけられなかった。映画館へ向かう粉川が映っている。まもなくスタッフロールだ。最後まで見切れずきっと、まぶたが降りてしまうのだろう。視界が滲む。まぶたの下で、ぐにゃぐにゃと残像が浮かぶ。赤いような、青いような、黄色いような。
黒嵜さまおよび読者のみなさまにはご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます
[2020年7月30日]『『エドワード・ホッパー 静寂と距離』お詫びと訂正』
【お詫びと訂正】
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
2019年11月刊行の青木保 著『エドワード・ホッパー 静寂と距離』(ISBN:978-4-7917-7234-6)の下記の箇所に、誤りがございました。
エドワード・ポッパーの作品ではない図版を掲載いたしました。
29頁 図5 エドワード・ホッパー《Nighthawks》1942年
78頁4行目 (誤)水星社 → (正)水声社
この誤載によりご迷惑をお掛けしました読者、関係各位の皆様に深くお詫び申し上げます。
[2020年7月27日]『「図書新聞」2020年上半期読書アンケート』
「図書新聞」2020年7月25日号
「2020年上半期読書アンケート」にて以下の書籍を紹介いただきました。
天野知香氏(西洋美術史) 『現代思想 2020年3月臨時増刊号 総特集=フェミニズムの現在』
四方田犬彦氏(映画・比較文学研究) 『アンビルトの終わり――ザハ・ハディドと新国立競技場』
中村隆之氏(フランス文学) 『ルネ・シャール全集』
塚原史氏(表象文化論、フランス文学・思想) 『アンビルトの終わり――ザハ・ハディドと新国立競技場』、『ルネ・シャール全集』
石原俊氏(歴史社会学) 『現代思想 2020年5月号 緊急特集=感染/パンデミック』
新城郁夫氏(沖縄/日本文学) 『現代思想 2020年5月号 緊急特集=感染/パンデミック』
山本貴光氏(文筆家・ゲーム作家) 『トランスレーティッド――高山宏の解体新書』
石原千秋氏(日本近代文学) 『ウィトゲンシュタイン 明確化の哲学』
金平茂紀氏(TVキャスター) 『現代思想 2020年5月号 緊急特集=感染/パンデミック』
(掲載紙順)
[2020年7月21日]『第5回〈6社共同〉「世界のノンフィクションがおもしろい!!」フェア 全国50店舗超で開催中!』
今年で5回目を迎えました、
6社共同企画(亜紀書房・紀伊國屋書店・作品社・青土社・白水社・みすず書房)
「世界のノンフィクションがおもしろい!!」フェアを5月下旬より開催中です。
もう少し知りたい、でも専門書はむずかしい。
読み応えたっぷりのノンフィクション作品は、あなたの「知りたい」欲求を満たします。
人文、社会、文学、芸術、自然科学など既存のジャンルを超えた世界の「極上のエンタテイメント」を楽しんでみませんか?
本フェアは、全国50店舗以上で開催中です。twitterで店頭の様子や出品銘柄などの情報を随時更新いたします。
twitter : 世界のノンフィクションがおもしろい!!
ぜひ、お近くの書店さんへ足をお運びくださいませ。
【開催書店一覧】
*開催期間は書店によって異なります。詳しくは各書店へお問い合わせください。
北海道 紀伊國屋書店札幌本店
北海道 MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店
北海道 三省堂書店札幌店
北海道 北海道大学生協書籍部クラーク店
北海道 ジュンク堂書店旭川店
北海道 江別蔦屋書店
北海道 函館蔦屋書店
宮城 東北大学生協文系店
宮城 ジュンク堂書店仙台TR店
秋田 ジュンク堂書店秋田店
福島 ヤマニ書房ラトブ店
茨城 リブロつくばキュート店
茨城 ACADEMIAイーアスつくば店
茨城 TSUTAYA LALAガーデンつくば店
栃木 八重洲ブックセンター宇都宮パセオ店
栃木 うつのみや栃木城内店
群馬 戸田書店前橋本店
群馬 戸田書店高崎店
群馬 未来屋書店イオンモール高崎店
群馬 ブックマンズアカデミー太田店
埼玉 くまざわ書店上里店
千葉 喜久屋書店松戸店
千葉 丸善津田沼店
千葉 くまざわ書店公津店
東京 三省堂書店神保町本店
東京 書泉ブックタワー
東京 くまざわ書店大手町店
東京 八重洲ブックセンター本店
東京 明正堂アトレ上野店
東京 くまざわ書店グランデュオ蒲田店
東京 ACADEMIA東急プラザ蒲田店
東京 ジュンク堂書店池袋本店
東京 啓文堂書店明大前店
東京 三省堂書店成城店
東京 啓文堂書店仙川店
東京 啓文堂書店府中本店
東京 ジュンク堂書店吉祥寺店
東京 啓文堂書店三鷹店
東京 くまざわ書店武蔵小金井北口店
東京 オリオン書房ノルテ店
東京 啓文堂書店鶴川店
東京 くまざわ書店桜ヶ丘店
東京 丸善多摩センター店
東京 啓文堂書店多摩センター店
神奈川 くまざわ書店相模大野店
神奈川 くまざわ書店相模原店
神奈川 くまざわ書店本厚木店
新潟 ジュンク堂書店新潟店
新潟 知遊堂亀貝店
新潟 知遊堂上越国府店
富山 文苑堂書店富山豊田店
富山 ブックスなかだ掛尾本店
富山 清明堂マリエ店
富山 文苑堂書店福田本店
石川 うつのみや金沢香林坊店
山梨 ジュンク堂書店岡島甲府店
長野 くまざわ書店伊那店
岐阜 ACADEMIA大垣店
静岡 戸田書店藤枝東店
愛知 ジュンク堂書店名古屋店
愛知 MARUZEN名古屋本店
愛知 正文館書店知立八ッ田店
愛知 くまざわ書店稲沢店
滋賀 立命館大学生協リンクショップ
京都 大垣書店高野店
京都 ホホホ座
京都 大垣書店京都本店
京都 大垣書店イオンモール京都桂川店
京都 同志社大学生協書籍部今出川店
大阪 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
大阪 ジュンク堂書店大阪本店
大阪 ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店
大阪 丸善高島屋大阪店
大阪 ACADEMIAくまざわ書店すみのどう店
兵庫 ジュンク堂書店三宮店
兵庫 喜久屋書店北神戸店
奈良 啓林堂書店奈良店
広島 MARUZEN広島店
広島 フタバ図書MEGA中筋店
徳島 小山助学館本部
熊本 蔦屋書店熊本三年坂店
大分 ジュンク堂書店大分店
大分 明林堂書店大分本店
*開催期間は書店によって異なります。詳しくは各書店へお問い合わせください。
[2020年5月29日]『パンデミックから紡ぐ思考 藤原辰史』
新型コロナウイルスが猛威を奮う現在、私たちはこのパンデミックからいかに思考を紡いでいけるのでしょうか。
小社刊『分解の哲学――腐敗と発酵をめぐる思考』をひとつの足掛かりにして、藤原辰史さんにインタビューを行いました(収録日:4月14日)。
* * *
―― 藤原さんは『分解の哲学』において、「こぼれおちているもの」を拾い上げて歴史を記述することで、翻ってこの社会の現在地を問いなおしていらっしゃいます。まずはこうした観点と、パンデミックを生きるうえで言葉を紡いでいく方法との関連性について教えてください。
藤原 私自身はこれまで農や食にかんする歴史について主に研究をしてきましたが、歴史学という学問には感染症についての歴史を記述した名著が数多くあるんです。私がとても影響を受けた研究者のひとりに、アメリカの歴史学者であるアルフレッド・W・クロスビー(1931-2018)という人がいますが、彼は『ヨーロッパの帝国主義』や『史上最悪のインフルエンザ』の中で、感染症や疫病をめぐる問題に特に触れています。クロスビーの著作からは、病原体という一見見えづらい存在が、世界史を描くうえでいかに欠かせない存在かということが見えてきます。
私自身も「見えづらいもの」の視点から歴史を描いてみるということを心がけています。『分解の哲学』では、土壌のなかで微生物たちが粛々と進めている動植物の死骸の分解の世界が、いかに私たちの生活に密着したものであるか探りたいと考えました。人間以外の見えづらい存在を追うことで、翻って「人間的なるもの」がわかってくる。この反転が私のテーマのひとつです。これはウイルスという見えづらい媒体によって拡大するパンデミックを生きるうえで言葉を紡いでいくにも、欠かせない視点だと思っています。
―― 藤原さんは「食べる」という平凡かつ危険な行為について、これまでさまざまな観点から検討を加えてこられました。COVID-19のパンデミックが提起した問題と〈食〉という行為の関係について教えてください。
藤原 そもそも食べものを食べると言う行為は、日常的に行われている壮大な賭けでもあります。食べるという行為は時にとても危険な行為です。そして今回、とくに給食や子ども食堂などの「みんなで食べる」という行為が感染のリスクが高いゆえに機能が低下することが、貧困家庭やひとり親の家庭をここまで苦しめる冷酷な事実に、慄いています。
「食べもの」は私たちの口に入ってくるまでに、さまざまなひとびとの危険と隣り合わせでつくられ、運ばれていることも忘れてはなりません。農家ジャーナリストであり、ご自身も有機農法の実践家である松平尚也さんが重要な指摘をなさっています。ドイツでは歴史的に農業労働が海外からの季節労働者によって賄われています。今回、新型コロナウイルス対策として、ドイツでは国境封鎖が行われていますが、そうすると食料の安定供給が危うくなるということで封鎖が解除され、主に東欧の国々から季節労働者を受け入れる態勢をとることになりました。すると、労働集約的な農業労働の現場では、社会的距離を保持することが難しく、労働者の感染リスクがとても高まってしまいます。こうした問題は、日本においても同じように考えることができる問題です。
その一方で、「食べる」という行為は類まれなるケアのかたちでもあり続けています。『給食の歴史』でも触れましたが、例えば給食というシステムは比較的安価に子どもたちの胃袋を支えてきた大きな取り組みです。今回給食が休止になってしまったことで、「食べること」をめぐる社会的な不平等が改めて可視化されました。ですから、「食べもの」や「食べること」をめぐるリスクが確かにある一方で、それが私たちの暮らしを支える礎ともなっているという両側面については、今回見えてきた〈食〉現象の拡がりとして引き続き考えていきたいと思います。
―― 今回例えば「使い捨てマスクを再使用すること」について、かつてないほど社会的に議論が巻き起こりました。『分解の哲学』でも大量生産・大量消費社会に批判的な検討を加える一方で、ごみや屑の可能性についても議論がなされています。
藤原 私たちは風呂に入ったり、歯を磨いたり、トイレで排泄したりすることで膨大な汗や垢、糞尿といったものを捨て、その後食事と呼吸によって新しい身体のある部分を取り入れることで生命を維持しています。今日出た排出物は、昨日までの身体を支えてくれていたものです。そしてまた、ひとつの生命を維持する過程で大量生産・大量消費が行われ、また生態系に組み込まれるプロセスのなかで大量分解が行われている。だからこそ、身体のある部分を「廃棄する」ということの重要性について考えています。
こうした前提の上で、医療現場での廃棄について考えてみましょう。医療現場では日々大量の手袋やマスク、注射針や点滴の容器、防護服などが廃棄されています。病院では家庭では考えられないほど、ゴミの分別がものすごく細かく分かれており、また厳重に管理もされています。病院は大量廃棄できるシステムがないと、日々が回らない施設のひとつです。これは生命の働きに沿っているからこそです。
こうした実態を見つめながら、改めてごみを収集したり清掃を行ったりする労働が社会にとっていかに不可欠な存在かを思い知らされました。しかもこうした現場で働いている人は、例えばごみから感染症に感染する危険性もあるなど、毎日リスクと隣り合わせです。
『分解の哲学』でも、ごみや屑を集めるひとびとについて描き出しましたが、新型コロナウイルスがもたらした問題は、ごみ収集や清掃という営みが、それがふつうに行われている限りは「見えづらい」重要な営みであることを明るみにしたように思います。外出禁止令が出され、社会のさまざまな営みがストップしたとしても、ごみ収集業者が回っていないと、衛生的に安全な状態を保って自宅で過ごしつづけることはできません。ですから、このように社会をメンテナンスする作用、そしてそれがあるひとびとの労働によって成り立っているということの意味について、とても重要な課題を突き付けられています。
―― COVID-19対策として、世界的に家で過ごし命を守る行動をとることの有用性が叫ばれています。「家で過ごすこと」をめぐり、その問題と可能性について、いかに思考を紡ぐことができるでしょうか。
藤原 「パンデミックを生きる指針——―歴史研究のアプローチ」では、「家」について集中的に論じました。家がすべての人にとって頼ることができる場所だとは言うことができません。今回のCOVID-19対策として、世界的に「Stay Home」ということが求められています。確かに「Stay Home」は今回身を守るためにとても大切なのですが、その裏でDVや子どもの虐待が増えていることを看過することはできません。また、そもそも「家で過ごすこと」が必ずしも自明でないひとびとにとって、「Stay Home」はとても暴力的な響きが伴うものかもしれません。「家」という場所は、私的な場所であると同時に、あらゆる政治が関わる場所でもあるのです。
ここで「家」について他のどの学問よりも真正面から考える学問である、「家政学(Home Economics)」の歴史を参照してみると、面白い思考の過程が浮かび上がってきます。私自身は、『ナチスのキッチン』で家政学の思考を参考にしたのですが、ここで「経済(エコノミー)」の問題、そしてこの言葉に含まれる「オイコス(家)」の問題が見えてきました。そもそも家政学は、一九世紀のアメリカでエレン・S・リチャーズという女性が提唱したもので、当初彼女は家政学を「Human Ecology」としてかたちづくろうとしていました。つまり、人間と自然の関係性を問い直し再接続する、言い換えてみれば経済の原理と生命の原理という、しばしば衝突する二つの原理をどういうふうに調整すればいいかを検討する、非常に可能性のある学問だったわけです。しかしその後、家政学は「かくあるべき「家」をいかに管理していけばいいか」という管理学的な性質をもつ学問として勉強される傾向をもつようになってしまいました。例えば、私たちがいま家庭科で習う家政学的な世界は、「家」というイメージがはじめから固まっていて、日々の暮らしの実態からするとどこか乖離してはいないでしょうか。こうした学問の枠組みのなかでは、「家」というものの不安定さが見えづらくなり、「家」がもつ社会性や公共性が矮小化されてしまいます。今回の新型コロナウイルスが提起した問題は、こうした家政学をはじめ、農学や医学など、生命と社会を横断する学問の姿にも待ったなしに変容を求めるものだと思います。
* * *
藤原 私たちは、新型コロナウイルスによるパンデミックの経験をした以上、それ以前の社会で見過ごされていたものをそのままにしておくことはもはやできません。この社会は、それを支える基盤がよりしっかりしていれば誰かが担わなくても済んだかもしれない負担を、より脆弱な基盤で生きるひとびとに押し付けていた社会であったことが今回さまざまなかたちで明るみになっています。こうした問題について考えることは、パンデミックを生きるうえでも大切な観点だと考えます。
こうした社会を生きるうえで私が強調したい点は、メンテナンスの重要性とシェアの可能性です。やはり見えづらい、あるいは社会から普段こぼれおちているケアについて考えていきたいと思います。
参考文献
藤原辰史『稲の大東亜共栄圏――帝国日本の「緑の革命」』(吉川弘文館、2012年)
――――『給食の歴史』(岩波新書、2018年)
――――『分解の哲学――腐敗と発酵をめぐる思考』(青土社、2019年)
――――「パンデミックを生きる指針――歴史研究のアプローチ」(「B面の岩波新書」〔https://www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic〕)
アルフレッド・W・クロスビー『史上最悪のインフルエンザ【新装版】――忘れられたパンデミック』(西村秀一訳、みすず書房、2009年)
――――― 『ヨーロッパの帝国主義――生態学的視点から歴史を見る』(佐々木昭夫訳、ちくま学芸文庫、2017年)
松平尚也「国連が新型コロナによる食料への影響について協調呼びかけ その背景とは」(『Yahoo!ニュース』2020年4月3日配信〔https://news.yahoo.co.jp/byline/matsudairanaoya/20200403-00171211/〕)
――――「新型コロナで揺れる世界の食料システム 影響は社会的弱者へ及ぶ」(『Yahoo!ニュース』2020年4月13日配信〔https://news.yahoo.co.jp/byline/matsudairanaoya/20200413-00173035/〕)
ローラ・シャピロ『家政学の間違い』(種田幸子訳、晶文社、1991年)