定価1,760円(本体1,600円)
発売日2024年12月27日
ISBN978-4-7917-1476-6
天動説、王権神授説、永久機関…思想はよみがえるか
古生物図鑑を眺めるのが楽しいように、絶滅した学説や思想を集めて一望するのはきっと楽しいだろう。しかし恐竜は生き返らないかもしれないが、滅びた学説はそうともかぎらない。たしかにそのままの形で復活することはないとしても、根本にある発想が姿を変えてよみがえる可能性は皆無ではない。そのような期待と不安を胸に、失われた理論たちのなかに私たちの未来を探し求めてみよう。
[目次]
特集*ロスト・セオリー 絶滅した思想――天動説・王権神授説・エーテル…
Ⅰ
秩序のもとに、天は動く。――天動説 / アダム・タカハシ
神のバイオテクノロジーへの途――前成説 / 山内志朗
「哲学者」たちの「技」――錬金術 / 渡邉真代
来た、見た、分かった 飛来する剝離像(エイドラ)――内送理論 / 佐藤真理恵
Ⅱ
科学におけるロスト・セオリーの役割――永久機関 / 山本貴博
科学史を貫くプロテウス的概念――エーテル / ジミー・エイムズ
地球から遮断された世界へ――金星生命論 / 米田翼
Ⅲ
なぜ人びとは性格を区別したがるのか――四体液説と類型論 / 小塩真司
キャラクターは顔に出る――観相学 / 松下哲也
姿かたちの異なる人々はどこまで人間なのか――怪物民 / 廣田龍平
ないものの生が教えること――幽霊島 / 東辻賢治郎
Interlude
セオリーがロストすること――「ニューアカデミズム」再考 / 檜垣立哉
Ⅳ
似て非なるもの――フラカストロの「伝染のたね」 / 田中祐理子
汚れた空気と疫病流行――瘴気説 / 井上周平
大腸は墓場か?――プトマイン説 / 美馬達哉
「ポリフォニーとしてのモダン」と催眠、超自我、構造――動物磁気説 / 鈴木國文
Ⅴ
イングランド国教会の王権論と「アングリカン革命」――王権神授説 / 原田健二朗
豊かさは陰謀と一体である――国家理性論 / 重田園江
「保守的」と見なされた一八・九世紀ドイツの思想家たちから何を学ぶか――保守的啓蒙・ロマン主義政治経済論・社会的使用価値論 / 原田哲史
【連載●科学者の散歩道●第一〇八回】
ある水爆科学者の多彩な研究人生――ジョン・ホイラーの場合 / 佐藤文隆
【連載●社会は生きている●第二九回】
社会と自我 5――空間占有論 / 山下祐介
【連載●京都〈移民〉紀行●第四回】
フランス人と京都(一) / 森千香子
【連載●現代日本哲学史試論●第一三回】
性をめぐる近代の枠組みとの対決――竹村和子の『愛について』 / 山口尚
【研究手帖】
ポケットの小銭からはじまる精神医学の制度論 / 橋本和樹