定価2,640円(本体2,400円)
発売日2024年12月24日
ISBN978-4-7917-7694-8
「崇高」から何を思考しつづけたのか。リオタールの戦略とは何か――
「ポストモダンの思想家」とされるリオタール。しかし、美学から一貫して資本主義への抵抗を思索しつづけた哲学者であることはあまり知られていない。複雑に交錯したその思想を丁寧に解きほぐしながら、特異な哲学者の本質を明らかにする。気鋭によるリオタール論の誕生。
[目次]
序 章 崇高と資本主義――リオタール再読のために
第Ⅰ部
第一章 呈示不可能なものの呈示
1 アヴァンギャルド
2 呈示不可能なもの
3 ローゼンブラムと抽象的崇高
4 超越的な崇高と内在的な崇高
第二章 表象不可能性とその隘路
1 芸術の批判機能
2 恐怖による抵抗
3 アウシュヴィッツと表象不可能性
4 呈示の臨界――ナンシーの崇高論
第三章 呈示=現前とショックの美学
1 呈示そのもの
2 非物質的質料
3 感覚不可能な〈もの〉たち
4 時間、抵抗、ミクロロギー
第四章 資本主義、この崇高なるもの
1 漂流――批判の外へ
2 二つの非人間性
3 非物質的なものたち
4 超越性への退却
第Ⅱ部
第五章 非人間化への抵抗
1 リオタールと「非物質」展
2 情報の結び目としての人間
3 発展の非人間性
4 人間とその残余
第六章 加速主義への通路
1 加速主義とは何か
2 ニック・ランドと思弁的実在論
3 絶滅――太陽の死、地平の崩壊
4 解放――未来の幼年期にむけて
終 章 ポストモダンの幼年期――あるいは、瞬間を救うこと
1 ポストモダン再論
2 ポストモダニズム
3 抵抗の戦略
4 瞬間の救済
参考文献
あとがき
索引
[著者]星野太(ほしの・ふとし)
1983年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は美学、表象文化論。
主な著書に『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)、『美学のプラクティス』(水声社、2021年)、『崇高のリミナリティ』(フィルムアート社、2022年)、『食各論』(講談社、2023年)。主な訳書にジャン=フランソワ・リオタール『崇高の分析論――カント『判断力批判』についての講義録』(法政大学出版局、2020年)などがある。