定価1,760円(本体1,600円)
発売日2024年11月27日
ISBN978-4-7917-0455-2
お笑いをめぐる語りの反撃
個々人の倫理観と身体的感覚、その時々の状況に密接に結びついた現象である「笑い」をわたしたちから引き剝がし、舞台・メディア・キャラクターでパッケージングすることで成立する芸能文化としての「お笑い」。この複雑なエンターテインメントの総体を、誰がどのように語ることができるだろうか。「お笑い」の存在感が高まるにつれ増殖する「語り」が秘めるエネルギーの可能性を、演者/裏方/観客をひっくるめて、さまざまな視座から検討していく。
特集*お笑いと批評――賞レース、バラエティ、ラジオ、YouTube、SNS…膨張・炸裂するエンタメの行方
❖インタビュー
おじいちゃん、おばあちゃんになっても漫才を / 人間横丁(内田紅多・山田蒼士朗)聞き手・構成=つやちゃん
❖笑いを受け取る身体
お笑いは誰のもの? / ゆッちゃんw(十九人)
形になりたい / 鈴木ジェロニモ
次は荻窪に止まります / 伽説いわし(にぼしいわし)
❖論考〈1〉メディアにおける足場
大喜利とのつきあい方 / 鈴木亘
〝ポストひな壇芸人〟は、いかにして可能なのか?――「ひな壇という社会」の歴史と現在 / 太田省一
『ラヴィット!』に見るテレビと芸人と視聴者の関係性 / 戸部田誠
❖ヒエラルキーの散らばり
芸人ヤクザ論 / 大島育宙(XXCLUB)
お笑いと批評と『M-1グランプリ』について / 白武ときお
❖討議
技術と情動のマキシマリズム――「国民的文化」であるお笑いをどう論じるか / 鈴木亘×つやちゃん×山本浩貴(いぬのせなか座)
❖ルーツと克服
スポーツの呪いと平場 / 森もり(破壊ありがとう)
木田とお笑い / 木田(ガクヅケ)
❖論考〈2〉倫理の輪郭を問う
個人と社会の接触のために / 中田健太郎
純粋な「お笑い」の倫理について / 西村紗知
「好み」が取りこぼすもの――女性芸人の語りから / 西澤千央
推し文化とお笑いオタク――「ワーキャー」の何が悪いのか? / 手条萌
❖方法論と展望
お笑いの神様と僕 / 岩崎う大(かもめんたる)
タフガイ式笑い起こしやすくする方法 / タフガイ(ツンツクツン万博)
「アマチュア」お笑いについて / どくさいスイッチ企画
❖論考〈3〉技巧が起こすミラクル
二〇二〇年代における漫才スタイルのマッピング、あるいはフースーヤという奇跡 / つやちゃん
ステップとリズム――キャラを立ち上げ、ナンセンスを手懐ける / imdkm
出現――ものまねとななまがりのミメーシスの笑い / 大岩雄典
❖隙間を覗く
ファンダムのなかとそとから / 井口可奈
ジョン・ポリス・パトカーズクラブ / 伊舎堂仁
❖論考〈4〉何が覆い隠されているのか
「コンプライアンス!」と叫んでみるだけ / 武田砂鉄
「お笑い」と「障害」をめぐる語りの現在地――笑うことを封じる力/笑わないことを封じる力 / 塙幸枝
笑いと量子論理 / 郡司ペギオ幸夫
❖忘れられぬ人々*38
故旧哀傷・吉行淳之介
中村稔
❖詩
のむ
今宿未悠
❖今月の作品
入間しゅか・岡村梨枝子・湖中千絵・関根健人
選=井坂洋子
❖われ発見せり
ピンを立てる
品田玲花
表紙・目次・扉……北岡誠吾
次号予告……P.169