現代思想2024年11月臨時増刊号 総特集=安部公房

-生誕一〇〇年-

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現代思想2024年11月臨時増刊号 総特集=安部公房

定価1,980円(本体1,800円)

発売日2024年9月27日

ISBN978-4-7917-1472-8

生誕100年…底知れぬ作品世界を解剖する
『壁』『砂の女』『箱男』そして『カンガルー・ノート』まで……つねに「前衛」たることを貫きながら戦後日本を駆け抜けた作家・安部公房の異形の想像力は、いまなお私たちを魅惑してやまない。小説の枠を超えたメディアの越境者として、時代に巣喰う不安の在り処をあらゆる角度から触診しつづけた飽くなき実験の数々。その全貌を見渡すべく迫る、100年目の総特集。

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【目次】

 

総特集*安部公房――生誕一〇〇年

 

【DISCUSSION】
未完のアクチュアリティ――安部公房と「戦後文学」の超克 / 鳥羽耕史+成田龍一 

【I・POLITICS】
復讐と砂漠――安部公房『砂の女』と〈戦後文学〉 / 渡邊英理
荒野への想像力――『けものたちは故郷をめざす』をめぐって / 五味渕典嗣 
安部公房と「共的(コミュナル)」なもの / 坂堅太
安部公房の転向?――『飢餓同盟』を読む / 長濱一眞
不確定性のパラドックスーー安部公房『榎本武揚』をめぐる暗号と歴史語り / 木村政樹 

【II・THEMES】
安部公房の変身譚をめぐって――「デンドロカカリヤ」「水中都市」「赤い繭」 / 鳥居万由実
変形のモメント――あるいは仮想的現実の科学論的基礎 / 長山靖生
はじめに寓話ありき――安部公房『人間そっくり』のトポロジー構造 / 加藤夢三
「夢っぽい」とはどのようなことか / 春日武彦
「世界」の〈外〉を描く作家――安部公房『壁』と『燃えつきた地図』の間 / 坂口周

【III・PROPHECIES】
タッチパネル人間の形成――安部公房のオペレーション / 福嶋亮大
定員のない方舟――『方舟さくら丸』論 / 岩本知恵
仮面の奥から覗く「性」――安部公房『他人の顔』の加害男性論 / 稲垣諭
地図なき世界の迷い方――『燃えつきた地図』における「ぼく」の失踪について / 中森弘樹

【IV・MISE-EN-SCÈNES】
演劇人、安部公房――芸術全体の表舞台の闊歩 / 木村陽子
石臼になった男――『日本の日蝕』とクロースアップの原光景 / 木原圭翔

【V・MEDIA】 
『密会』のサウンドスケープ――安部公房と非同期な〈音〉の実験 / 藤井貴志
安部公房とピンク・フロイド――壁、写真、川 / 円堂都司昭
箱男、犬、写真家 / 倉石信乃
ドアの向こうで、迷走がつづく。――安部公房と磯崎新の「砂漠の思想」序説 / 松井茂
安部公房とワープロ――一九八〇年代における技術への問い / 飯田豊

【BIBLIOGRAPHY】
安部公房主要著作解題 / 宇草和弥