オタク文化とフェミニズム

田中東子 著

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オタク文化とフェミニズム

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2024年9月24日

ISBN978-4-7917-7674-0

わたしたちの消費は「正しい」のだろうか
金銭と時間の投資、心身の過剰な労働、性的消費との葛藤…、わたしたちと「推している」対象のあいだにはさまざまな問題が浮かびあがってくる。しかし、その活動に喜びが見出されることは間違いない。喜びと苦しさとが入り混じるその実践をすくい取りながら、「推し活」社会の現在地を描きだす。「推し活」論の決定版!
エンターテインメントをめぐるモヤモヤを考えるための補助線となる書。

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[目次]

はじめに

Ⅰ 「推し活」社会と私たち
 

第1章 「推し活」社会の現在地
 「推し活」現象はどこからきたのか
 メディア化される「推し活」現象
 拡大される「推し活」論議


第2章 推し活と労働
 エンターテインメントと労働
 推される人たちの労働
 カツアゲされる情熱とやりがい
 やりがいある仕事?
 ケアワークとしての推し活
 推す側の労働


第3章 オタク消費を考える
 盛り上がる「推し活」経済
 企業によるオタク消費の捉え方
 過度な消費文化
 リクレイム・ザ・推し活


Ⅱ アイドルたちがみせるもの
 

第4章 アイドルたちは何を開示しているのか?

第5章 多様化する男性アイドル――若手俳優・ボーイズグループ・王子たち
 二〇一〇年代の2・5次元ミュージカルの現場から
 「アイドル」として語られる若手俳優
 「アーティスト性」と「アイドル性」は対立しない?
 実力派の「アイドル」という新機軸
 「○○王子」は「アイドル」を製造するパワーワード


第6章 ジャニーズ問題と私たち――性加害とファン文化の不幸な関係
 鈍かったメディアの反応
 性加害に加担したメディアの黙認
 温存される事務所内の権力構造
 ファン文化による不幸な愛着

 

Ⅲ オタク文化とフェミニズム
 

第7章 〈スペクタクル〉な社会を生きる女性たちの両義性
 消費主体/消費客体の転覆とその波及
 バラエティ豊かな「イケメン男性」の増殖
 イケメン男性の消費・商品化が示す両義性


第8章 娯楽と恥辱とルッキズム
 ルッキズムとジェンダー
 ルッキズムの定義と歴史
 娯楽と恥辱とルッキズム


第9章 自由と抑圧のはざまで「かわいさ」を身にまとう――「男の娘」を考える
 バンコクでのフィールドワーク
 日本での現状
 「男の娘」の定義
 再現度の上昇
 なぜ、「かわいく」なりたいのか?


第10章 のがれること・つくること・つながること


あとがき

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[著者]田中東子(たなか・とうこ)

1972年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(政治学)。現在、東京大学大学院情報学環教授。専門は、メディア文化論、第三波以降のフェミニズム、カルチュラル・スタディーズ。単著に『メディア文化とジェンダーの政治学』(世界思想社)。共著・編著に『ガールズ・メディア・スタディーズ』(北樹出版)、『ジェンダーで学ぶメディア論』(世界思想社)など。共訳書にポール・ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』(月曜社)、アンジェラ・マクロビー『フェミニズムとレジリエンスの政治』(青土社)などがある。