定価2,420円(本体2,200円)
発売日2024年9月2日
ISBN978-4-7917-1470-4
人間の謎へ挑戦した哲学者の全貌
先端諸科学の成果を背景に新しい哲学的見取り図を提示し、意識の生成や進化の解釈に画期的地平を拓いたデネット。それは新しい無神論として強い反発もまねきながらも、数々の論争が生まれるきっかけとなった。本特集では、今年四月に惜しくも逝去した彼の業績を振り返り、異才デネットが到達した論理の全貌を解き明かす。
【目次】
総特集*ダニエル・C・デネット――1942-2024 意識と進化の哲学
◉ discussion
ツールボックスとしてのデネット――その哲学的遺産を引き継ぐ / 木島泰三+戸田山和久
◉ free will
愛すべき煮え切らなさと、嘆くべき戯画化――デネット/カルーゾー/戸田山の自由意志論 / 青山拓央
デネットの自由意志論 / 山口尚
デネットと操作論証――『自由意志対話』読解 / 高崎将平
◉ evolution
『ダーウィンの危険な思想』再読――万能酸、スカイフック、クレーン / 三中信宏
ハードな工学的世界観から、やわらかな有機的世界観へ / 鈴木大地
ライフモードとマインドモード――知性モデル試論 / 下西風澄
◉ essay
デネットを三たび肯定する――批判者、調停者、職人のための職人 / 吉川浩満
◉ (non-)religion
無神論と科学、そして無知でいる権利――ダニエル・デネットの逝去に想うこと / 塚原東吾
新無神論運動は現代社会に何を遺したか / 藤井修平
◉ consciousness
パターンの哲学者としてのデネット / ジミー・エイムズ
意識にクオリアはいらない――ラッセル的一元論がデネットから学ぶべきこと / 髙村夏輝
届かない応答――「デネット対フッサール」とその余白 / 植村玄輝
デネットの志向的スタンス論と素朴心理学の二面性 / 藤原諒祐
デネットをWEターンする――「有用な虚構としての自己」から「多層的わたし」へ / 出口康夫
◉ desert
刑罰を語るデネット――カルーソーとの『自由意志対話』を読む / 十河隼人
「HAL」がしたこと ロボット責任論序説、のようなもの / 太田雅子
◉ speculative realism
非アルゴリズム進化へ――デネット、グールド、ホワイトヘッド、メイヤスーをめぐって / 飯盛元章
追悼不可能性――デネット的自然主義と思弁的実在論のあいだで / 仲山ひふみ
◉ bibliography
デネット主要著作解題 / 木島泰三