紙の魚の棲むところ

-〈書物〉について-

雑賀恵子 著

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紙の魚の棲むところ

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2024年7月18日

ISBN978-4-7917-7660-3

言葉の海へ、意味の外へ
「書物のなかにありながら、意味するものにはとらわれず、意味するものとはまったく無縁に、言葉の海を泳ぐ魚がいる。紙の魚。紙魚(しみ)」(「まえがき」より)。
武田百合子、こうの史代、石牟礼道子、細田守、赤塚不二夫、立川談志、やなせたかし、荒川弘、宮沢賢治、大江健三郎、瀬戸内寂聴————かれらの〈テクスト〉のなかにかろうじて痕跡をとどめる、けったいなもの、不器用なもの、たよりないものたちに目を凝らすことで、意味に絡めとられたこの世界に、わずかな綻びをもたらす。『空腹について』『エコ・ロゴス』の著者がおくる渾身の思想エッセイ。

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[目次]

まえがき

  Ⅰ 

終わらない確認
覚え損ねたあのひとの記憶/書き留められた大文字の歴史
たじろぎ、あわいに立つものは

  Ⅱ 

モンスターとはなにものか
前のめり、つんのめって……
Too Late To Die!

  Ⅲ 

不格好で弱くあるきみは……
哀しみを背負うものたち —— 等価交換の不/可能性
水はおぼろでひかりは惑ひ

  Ⅳ

菊の花弁は増殖し…
NOWHERE = NOW HERE  —— 物質の海へ

  Ⅴ

場所 —— 死者と生者と

 

  あとがき
  初出一覧

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[著者]雑賀恵子(さいが・けいこ)
京都薬科大学、京都大学文学部を経て、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。専門は農学原論、社会思想史。著書に『空腹について』(青土社、2008 年)、『エコ・ロゴス——存在と食について』(人文書院、2008年)、『快楽の効用——嗜好品をめぐるあれこれ』(ちくま新書、2010年)。共著に『政治の発見 第1巻』(風行社、2010年)、『アディクションの地平線——越境し交錯するケア』(金剛出版、2022年)など。京都在住。二匹の猫とともに暮らす。