ユリイカ2024年6月号 特集=わたしたちの散歩

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ユリイカ2024年6月号 特集=わたしたちの散歩

定価2,090円(本体1,900円)

発売日2024年5月27日

ISBN978-4-7917-0448-4

ひとはなぜ歩くのか
街歩きが趣味のひとつとして定着し、人々は街々の細やかな再発見に余念がない。史跡や神社仏閣、飲食店などの観光資源からより微細に、街の構造的な成り立ちに入りこみ、土地の来歴さえ蘇らせる。文学散歩や歴史散歩、建築散歩、目的ならぬ目的とともに歩くひとびとがいる。地図さえ持たず、そぞろ歩き、目を凝らす、人間の営みがそこには尽くされている。われわれはいつだって散歩を始めることができる。
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特集*わたしたちの散歩

❖対談
もうちょっと歩きますか――そぞろ未満の散歩 / かつしかけいた 柴崎友香

❖散歩を描く
坂を上り見晴らす / かつしかけいた
「ニューヨークで考え中」ドローイング / 近藤聡乃
FOCUS――「散歩する女の子」特別読み切り / スマ見

❖歩きはじめる
あまり散歩日和とは思えない日に / 與謝野文子
東中野・ニユーヨーク・四谷 / 大竹昭子
歩くこと、作ること / 小津夜景
書くことと散歩 / 大前粟生
横浜橋・不老町散歩日記 / 小指

❖遊歩者とともに歩く
「一九世紀の首都」パリのフラヌールたち――歩く感性と都市の思想史 / 朝比奈美知子
黒いプードルと植物学――ゲーテ研究者の脳内散歩 / 石原あえか
家に帰るカメ――ベンヤミン、遊歩のあとで / 田邉恵子
ディスクレな方へ――犬の散歩についての素描 / 東辻賢治郎

❖さまざまな街
街を散歩すること、散文的であること / 橋本倫史
いつも見つけたがる――散歩と街歩きのあわい / チヒロ
酒と徘徊 / パリッコ
旧町名、その儚さ / 102so
蓋と橋――暗渠を歩く / 暗渠マニアックス(吉村生+髙山英男)

❖歩行という制作術
散歩する詩人たち / 白岩英樹
ソローのWalkingと生き方としての哲学 / 齋藤直子
散歩への帰り道 / 串田純一
歩くことの「かたち」――リチャード・ロング、サミュエル・ベケット、サミュエル・パーマー / 山口惠里子
散歩と行進――日本文学における「意志薄弱」の歩行 / 坂口周

❖創作
新しい散歩 / 高山羽根子

❖散歩と不/自由
インペアメントとディスアビリティを散歩する / 近藤銀河
純粋な散歩はこの世に存在できるのか / 服部文祥
散歩と徘徊 / 春日武彦
思い出すための散歩 / わかしょ文庫

❖歩く身体
身体の具現――散歩における身体障害の問題 / 木下知威
歩くことは踊ること――二〇世紀初頭ドイツにおける〈躍動〉としての体操 / 後藤文子
道なき道の散歩――山中を歩くことについて / 古川不可知
散歩の技術(アート)――フレームをつくる/待つ / 青田麻未
石鹸の泡が消えるまで / 髙山花子

❖記憶された都市
下り坂について――街歩きの文明論 / 吉見俊哉
教養としての散歩 / 石川初
記憶を歩く、記憶と歩く――「日常記憶地図」の実践から / サトウアヤコ
治療の方法――私たちの声と体と感覚を一つ一つ手に入れること / 松橋萌
多様性に満ちた持続可能な社会を作り出す「散歩」のために / 谷頭和希

❖散歩はつづく
「文学散歩」の時代 / 岡野裕行
散歩番組を見るということ / 松山秀明
いぬの「おさんぽ」について / 垂水源之犬こと池田光穂
何者でもなく心を遊ばせる時間 / 山本貴光

 

❖忘れられぬ人々*32
故旧哀傷・本田幸太郎 / 中村稔

❖物語を食べる*39
内なる他者/外なる自己 / 赤坂憲雄

❖詩
恋 他二篇 / 鈴木康太

❖追悼*粟津則雄
哀悼・粟津則雄 / 中村稔
ペテロの否認 / 近藤洋太
「ブランショの小説論」を読んだ批評家 / 郷原佳以

❖今月の作品
三刀月ユキ・松波/和泉翔・栫伸太郎・坂田雅史 / 選=井坂洋子

❖われ発見せり
外国語とコミュニケーション / 西浦まどか

 

表紙・目次・扉=北岡誠吾
表紙・特集扉写真=かつしかけいた