アンチ・ジオポリティクス

-資本と国家に抗う移動の地理学-

北川眞也 著

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アンチ・ジオポリティクス

定価4,400円(本体4,000円)

発売日2024年3月23日

ISBN978-4-7917-7632-0

地政学が見落としてきた運動が、
聞こうとしなかった叫びが、ここにある。

国境廃絶を求める闘争が続く地中海の「移民の島」で、万博への抗議渦巻くミラノの路上で、技能実習生の「失踪」が絶えない日本の建設現場で——。いまこそ、地球上のさまざまな場所で響く、境界をすり抜け、食い破る人々の叫びに耳を傾けるときだ。欲望と叛乱の地理学の、野心あふれる実践。

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[目次]

まえがき
 

第I部 地政学から逃れて——地政学と反地政学

第1章 地図からあふれだす流転の地理
    ——地図学的理性を超える地球の潜勢力

1 はじめに/2 地図学的理性とは何か/3 地図学的理性の危機/4 機械状化する大衆地政学/5 フェミニスト地政学という名の脱地政学/6 おわりに——地理とは反地政学的なものである

第2章 ヨーロッパ「市民」がいなくなった後で
    ——地中海をまたぐ反植民地叛乱としての移民運動

1 はじめに/2 「受け入れ社会」が移民を殺す/3 移動から生起する政治/4 移民運動という反植民地叛乱/5 地中海に生成する反地政学的想像力/6 脱国家への地理がひらく未来/7 おわりに——ノー・ボーダーの政治
 

第II部 囲い込む収容所、逸脱する移民運動——生政治と地政学

第3章 「移動」が「運動」へと生成変化するとき
    ——国境の移民収容所からの問い

1 はじめに/2 移民収容所という「ラーゲル」/3 収容所の移民たち(1)——「モハメド・アリ」の場合/4 収容所の移民たち(2)——「ビラル」の場合/5 収容所の移民たち(3)——「ビラル」の場合・続き/6 おわりに

第4章 「歓待」という名の生権力を脱することはできるか
    ——収容をめぐるパラドックス

1 はじめに/2 歓待が暴力に変わるとき/3 歓待から連帯、そして解放的協働へ/4 ジェンダーと歓待/5 おわりに——植民地的空間としての収容所
 

第III部 ロジスティクスとインフラによる戦争——資本主義と地政学

第5章 シームレスな流動を夢見るロジスティクスの暴力
    ——労働と生の支配、遮断と封鎖による叛乱

1 はじめに/2 ロジスティクスとは何か/3 ロジスティクス空間の生産——その史的過程/4 労働と対抗ロジスティクス/5 軍事と(対抗)ロジスティクス、再論/6 おわりに

第6章 都市化する惑星が生み出す「まだら状の大地」
    ——つながる街、つなげる道、壁となる道、棄て置かれる街

1 都市化する惑星/2 インフラをめぐる闘い/3 「郵便物」として管理される移民たち/4 都市‐国境を貫く対抗ロジスティクス/5 「惑星工場」という視点


第IV部 ヨーロッパから東アジア/日本へ——流動する反地政学

第7章 労働力を包囲するロジスティクス、逃亡がひらく移動コモンズ
    ——「寄せ場化」する社会の地理学

1 はじめに/2 「寄せ場化」する社会/3 「労働移植」のロジスティクス/4 逃亡という名の移民運動/5 おわりに——東アジア/日本に刻まれる流動の足跡

第8章 共鳴するノー・ボーダーの叫び
    ——「難民特権」言説批判から「すべてを欲する」叛乱へ

1 はじめに——「難民特権」?/2 欲望を忘れた「正しさ」/3 移民なき資本主義は存在しない/4 労働の拒否、境界の拒否/5 移民の自由、平等、そして夢/6 おわりに——生の無条件の肯定=ノー・ボーダー

 

あとがき/初出一覧/文献一覧

 

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[著者] 北川眞也(きたがわ・しんや)
1979年、大阪府生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(地理学)。現在、三重大学人文学部准教授。専門は政治地理学、境界研究。著書に『交差するパレスチナ——新たな連帯のために』(共著、新教出版社、2023年)、『惑星都市理論』(共著、以文社、2021年)など。訳書に、サンドロ・メッザードラ『逃走の権利——移民、シティズンシップ、グローバル化』(人文書院、2015年)、フランコ・ベラルディ(ビフォ)『ノー・フューチャー——イタリア・アウトノミア運動史』(共訳、洛北出版、2010年)がある。