定価1,760円(本体1,600円)
発売日2024年2月27日
ISBN978-4-7917-1461-2
どこにあるのか? そもそもあるのか?
人間が反省的意識をもつ生きものであるかぎり、誰であろうと生きていることの意味への問いから逃れることはできない。しかも私たちをとりまく状況は刻々と変化しつつあり、それに応じて古い問いも新しく生まれ変わってゆかざるをえないだろう。本特集では21世紀的な「人生の意味の哲学」の諸相を展望し、その現代的意義について考察する。
[目次]
特集*人生の意味の哲学
【討議】
生きる意味を問うとき、私たちは何を考えているのか / 古田徹也+森岡正博
【人生の意味の哲学の輪郭】
人生の意味について語るときに私たちを語らせるもの/ 村山達也
人生の意味と物語 / 鈴木生郎
【無意味の意味】
意味があるもなにも、そもそも何をすればいいのか分からない――二つの無意味さの区別について / 吉沢文武
シュヴァルの情熱と「芝生を数える人」――それは無意味な人生なのか? / 長門裕介
シオランと「人生の意味」のなさ / 大谷崇
【応答可能性】
人生の意味への問いについてハイデガー『存在と時間』から何が言えるか――分析実存主義との対比も含めて / 池田喬
「人生の意味」は誰のものか――人生の意味へのコミュニケーション的アプローチ / 鶴田想人
〈私〉を起こさないで――ディヴィッド・ベネターの「反出生主義」から / 脇坂真弥
生の相関主義――反出生主義と思弁的実在論 / 浅沼光樹
【それぞれの生のリアリティ】
死者倫理の視点から「人生の意味」を考える――遺された者に何ができるのか / 小松原織香
「生きる意味」が問われなくなるとき――植物状態患者のケアに携わる看護師との対話より / 西村ユミ
人生の意味が社会の変化によって失われるとき / 玉手慎太郎
【問いの広がり】
AIの手を掴むくらいなら溺れて死ぬ / 松井哲也
スポーツの意味の哲学 / 竹村瑞穂
人生を謳う女――岡本かの子と仏教 / 大澤絢子
【連載●科学者の散歩道●第九九回】
核兵器の公然化とビキニ事件――湯川の高知訪問と生涯の転機 / 佐藤文隆
【連載●「戦後知」の超克●第三八回】
見田宗介の「近代」と「現代」10 / 成田龍一
【連載●社会は生きている●第一九回】
環境とシステム5――文化の環境埋め込み論 / 山下祐介
【連載●現代日本哲学史試論●第三回】
大森荘蔵による物心二元論の歴史的超克 / 山口尚
【研究手帖】
文学研究、この寄生虫 / 中江太一