定価2,420円(本体2,200円)
発売日2024年2月24日
ISBN978-4-7917-7631-3
この私にとっての倫理を考える
倫理的な実践に「個人的」な要素を含み込んで独自の哲学を作り上げたバーナード・ウィリアムズ。人格・倫理・運などさまざまな要素が絡まり合いながら実践されゆく人間ひとりひとりの営みに真摯に目をむけ、倫理の核心に迫った哲学者の軌跡を追う。本邦初の入門書。
[目次]
はじめに 強さのペシミズム
第一章 哲学はいかに倫理を語るのか ウィリアムズ倫理学の方法論
序論 必然性と出来事
1 疑り深き微笑み——ウィリアムズの生涯
2 人格論——複製・恐怖・身体説
3 初期の倫理学——感情・悲劇・道徳心理学
結論
第二章 倫理は理論化できるのか 倫理学理論批判
序論 つらぬかれた抵抗
1 功利主義は実践可能なのか——初期の功利主義批判
2 功利主義と行為者性——インテグリティによる異議
3「私が私であること」の重み——倫理学理論批判へ
結論
第三章 倫理は運を超えるのか 道徳批判
序論 テロリストから英雄へ
1 生の理解・後悔・救済——道徳的な運の問題
2 道徳システムの所産として自由意志論争
3 理由、説得、非難
結論
第四章 政治はいかに倫理の問題となるか 政治的リアリズム
序論 敗北のあとで
1 歴史主義的転回
2 政治的リアリズム
3 生活の闘争——ウィトゲンシュタイン左派の方法
結論
おわりに 反道徳の倫理学
読書案内、あとがき、参考文献、索引
[著者]渡辺一樹(わたなべ・かずき)
1995年生まれ。エディンバラ大学大学院修士課程(哲学)、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程(哲学)修了。現在、同大学院博士課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC1)。専攻は、道徳哲学・政治哲学。論文に「自然主義と系譜学——ヒューム、ニーチェ、バーナード・ウィリアムズ」(『イギリス哲学研究』第47号、近刊)、「ムーミン——ただ生きることのアナキズム」(『アナキズム』共著、第33号、2022)など。