定価2,860円(本体2,600円)
発売日2024年2月14日
ISBN978-4-7917-7626-9
20世紀の思想に大きな影響を与えた哲学者が展開した、 圧巻の生の哲学
自由なる「精神」の実在を説く「フランス・スピリチュアリスム」の潮流のただ中にありながらも、ベルクソンは従来の概念を組み換え、問題をずらし、独特の思想へと進んでいく。彼が擁護する「精神」、そしてその「自由」とは何か。ベルクソンは「精神」にいかなる「場所」を与えたのか。十九世紀以後のフランス哲学の展開を背景にしての読解、そしてさまざまな哲学者との対話を通じて、ベルクソン哲学の隠された相貌を新たに描き出す。
[目次]
はじめに
Ⅰ フランス・スピリチュアリスムの諸相
第1章 思考と動くもの──ラヴェッソンとベルクソン
第2章 J・S・ミルとフランス・スピリチュアリスム
第3章 ラシュリエと「フランス・イデアリスム」の形成
Ⅱ ベルクソン的「精神」とその場所
第4章 精神の場所──エピステモロジーとスピリチュアリスムとの間で
第5章 自発性を飼い馴らす
第6章 ベルクソンにおける行為と認識──一つの素描
Ⅲ さらなる展望のために
第7章 スピノザとベルクソン──〈実在の思惟〉をめぐって
第8章 フッサールとベルクソン──二つの「幾何学の起源」
おわりに
あとがき
参考文献
事項・人名索引
[著者]杉山直樹(すぎやま・なおき)
1964年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、学習院大学教授。専門は、フランス哲学。著書に『ベルクソン 聴診する経験論』(創文社、2006年)、『ベルクソン読本』(共著、法政大学出版局、2006年)、『スピノザと十九世紀フランス』(共編著、岩波書店、2021年)など。訳書に、ラヴェッソン『十九世紀フランス哲学』(共訳、知泉書館、2017年)、ベルクソン『物質と記憶』(講談社学術文庫、2019年)などがある。