〈情報的世界観〉の哲学

-量子コンピュータ・メタヴァース・生成AI-

大黒岳彦 著

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〈情報的世界観〉の哲学

定価3,520円(本体3,200円)

発売日2023年12月26日

ISBN978-4-7917-7615-3

これが、面白い情報哲学。
ウェーバーとラトゥールの〈社会〉理論を新たに捉え直し、「数」と「素子」の性質を根底的水準で究明し、メタヴァースと生成AIの社会哲学的・メディア論的分析を遂行する。

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[目次]

0 序論――〈情報的世界観〉とは何か?
0-1 情報社会の現況
0-2 〈情報的世界観〉について
0-2-1 〈世界観〉とは何か?
0-2-2 〈ネット-ワーク〉と〈世界観〉
0-3 本書の結構
0-4 繙読に先立っての注記
0-4-1 〈放-送/ネット-ワーク〉
0-4-2 〈für es/für uns〉

第一章 ウェーバー社会理論の深層構造と社会の〈自己記述(アウトロギー)
1-0 はじめに――ウェーバー社会理論に対する本章のスタンス
1-1 「方法論的個人主義」とは何か?
1-2 ウェーバーによる〈社会構成〉プログラム① ――所与的素材の〝構成〟
1-2-1 〈端緒(アルケー)〉の二重性
1-2-2 行為の〈動機〉と〈合理性〉
1-2-3 ウェーバーにとって〈合理性〉とは何か?――「〈社会的行為〉における四類型」の問題点
1-3 ウェーバーによる〈社会構成〉プログラム② ――歴史的・文化的〝時・空間〟
1-3-1 リッケルトの〈価値〉哲学
1-3-2 歴史的〝時間〟と文化的〝空間〟
1-4 ウェーバーによる〈社会構成〉プログラム③ ――〈理念型〉と〈因果性〉
1-4-1 〈関心〉と〈価値〉の相対性
1-4-2 〈理念型〉の問題系
1-4-3 〈因果性〉の問題系
1-4-4 〈合理性〉の問題系とウェーバー理論における〈循環〉
1-5 ウェーバー社会理論の〝深層〟
1-5-1 〈社会〉の〝誤謬推理(パラロギスムス)〟とその批判
1-5-2 〈社会〉観における〝二律背反(アンティノミー)〟とその解決
1-5-3 〝理想(イデアール)〟としての〈社会〉の拒否とその帰結
1-6 ウェーバーと社会システム論

第二章 ラトゥールの〈形而上学〉――アクターネットワーク理論と社会システム論
2-0 はじめに――ラトゥール思想に対する視角の設定
2-1 アクターネットワーク理論vs.社会システム論
2-1-1 社会
2-1-2 人間
2-1-3 プロセス
2-1-4 自然
2-1-5 近代
2-1-6 方法
2-2 ANTの可能性
2-2-1 ANTと〈メディア〉論
2-2-2 〈形而上学=存在論〉としてのANT
2-2-2-1 〈存在様態〉論――存在論的多元主義の企図
2-2-2-2 思弁的実在論およびタルド〈モナド〉論への言及
2-2-3 〈質料=メディア〉の存在論としてのANT

第三章 情報社会にとって「数」とは何か?
3-0-1 はじめに――トリヴィアルな存在/分野としての巨大数
3-0-2 現代数学における巨大数の扱いの変遷
3-0-3 視角の設定――数と意味
3-1 数と社会
3-1-1 数の社会的性質
3-1-2 国家的支配と数
3-1-3 ギリシア数学の二重の両義性
3-1-4 記号の覇権――十七─十八世紀
3-1-5 「数」の氾濫――十八─十九世紀(1)
3-1-6 「数」の拡張――十八─十九世紀(2)
3-1-7 純粋数学の統一と専門分化――十九─二十世紀
3-2 巨大数の意義
3-2-1 「数」の〈自立=自律〉と自己言及
3-2-2 「数」生成の自働化――「算術」の意味変容
3-2-3 情報社会と巨大数
3-3 〈メディア〉としての「数」

第四章 量子力学・情報科学・社会システム論――量子情報科学の思想的地平
4-0 はじめに――量子コンピュータ〝ブーム〟と情報社会の現段階
4-0-1 「量子超越性」を巡る騒動
4-0-2 量子情報科学へのスタンス
4-1 〈情報的世界観〉の黎明
4-1-1 情報科学の誕生とサイバネティックス
4-1-2 モノ・意味・情報
4-1-3 〈情報的世界観〉とは何か?
4-2 量子力学と〈情報的世界観〉
4-2-1 物理学における「物的世界像」の綻び
4-2-2 物理学における「情報」への視界
4-2-3 量子力学における「モノ」と「情報」の相克
4-3 量子情報科学の履歴(プロフィール)
4-3-1 量子力学と情報科学
4-3-2 量子情報科学の誕生まで
4-3-3 量子情報科学の現在
4-3-4 量子情報科学の思想的地平
4-4 量子情報科学と情報社会
4-4-1 量子力学・情報科学と社会システム論
4-4-2 社会システム論と量子情報科学

第五章 メタヴァースとヴァーチャル社会
5-0 はじめに――本章のメタヴァースに対するスタンス

5-1 メタヴァース概念の内包スペクトラム
5-2 メタヴァースの三つの系譜
5-2-1 VRからメタヴァースへ
5-2-2 SNSからメタヴァースへ
5-2-3 ブロックチェーンからメタヴァースへ
5-2-3-1 創造行為の民主化と新たなビジネスモデル群
5-2-3-2 NFT――〈情報体〉とブロックチェーンによる〝唯一性〟の構成
5-2-3-3 クリエイター・エコノミーとWeb3 の実像
5-3 〈メタヴァース〉とは何か?
5-3-1 時間という根源的地平――コミュニケーションの連鎖と現存在(ダーザイン)の被投性(ゲヴォルフェンハイト)
5-3-2 メタヴァースの〈潜在的(ヴァーチャル)=素材的(メディアル)〉性格
5-4 〈メタヴァース〉の可能性と限界
5-5 終わりに――ヴァーチャル社会における〈見えるもの〉と〈見えないもの〉

終 章 生成AIによる〈情報的世界観〉の開示――社会の〈機械〉化と潜在性
6-0 はじめに――本章の課題
6-1 生成AIの社会的本質
6-1-1 Web の自己言及的自己生成
6-1-2 〈検索〉から〈コミュニケーション〉へ
6-1-3 Web の倫理性と権力性
6-2 生成AIにおける〈人間〉の地位とWeb3
6-2-1 過渡期における人間の三層
6-2-2 Web3 と生成AI
6-3 〝統治〟における〈機械〉化の思想史
6-3-1 〝統治〟〈機械〉の諸モデル――ホッブズからサイバネティックスまで
6-3-2 〈機械〉としての〈社会〉という思想――フーコー・ドゥルーズ=ガタリ・ルーマン
6-4 〈機械〉化された〈社会〉における「労働」と「創造」
6-4-1 生成AIが惹起した労働の〝軽重〟における反転
6-4-2 労働と創造
6-4-3 〈機械〉による〝創造〟の意味
6-5 〈情報的世界観〉
6-5-1 「情報」概念の三層
6-5-2 現象学による〈意味〉階層の哲学的分析
6-5-3 ルーマンにおける〈意味〉と〈情報〉との地位逆転
6-5-4 「生成AI」と〈情報的世界観〉


あとがき

作品索引
人名索引

事項索引

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[著者]大黒岳彦(だいこく・たけひこ)
1961年香川県生まれ。哲学者。東京大学教養学部卒業。同大学院理学系研究科(科学史・科学基礎論専攻)博士課程単位取得退学。1992年日本放送協会(NHK)に入局、番組制作ディレクターを務める。退職後、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。専門は哲学、情報社会論。現在、明治大学情報コミュニケーション学部教授。主な著書に『情報社会の〈哲学〉――グーグル・ビッグデータ・人工知能』(勁草書房)、『ヴァーチャル社会の〈哲学〉――ビットコイン・VR・ポストトゥルース』(青土社)など、訳書にメディーナ『サイバネティックスの革命家たち――アジェンデ時代のチリにおける技術と政治』(青土社)、ゲローヴィチ『ニュースピークからサイバースピークへ――ソ連における科学・政治・言語』(名古屋大学出版会)がある。