現代思想2023年12月臨時増刊号 総特集=平田篤胤

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現代思想2023年12月臨時増刊号 総特集=平田篤胤

定価3,300円(本体3,000円)

発売日2023年11月28日

ISBN978-4-7917-1456-8

没後180年――稀代の思想家の正体に迫る
平田篤胤は荷田春満、賀茂真淵、本居宣長と並ぶ国学者でありながら、和辻が言うように国粋主義や皇国史観などにも影響をあたえた思想家でもある。死後の世界である幽冥界を克明に活写し、キリスト教を彷彿とさせるような主宰神を想定し、古学を学ぶものは大倭心すなわち「霊の真柱」をもつことこそが重要だという思想は、国学や日本思想史の流れのなかにおいて稀有な存在である。
こうした思想家がなぜ現れたのか、そもそも平田篤胤とは何者なのか……。一八、一九世紀から幕末・維新の動乱期に、大きな影響をあたえ、現在もなお人びとをひきつける平田篤胤という存在に、民俗学、宗教学、歴史学などさまざまな分野からアプローチする。これまであまりまなざされてこなかった篤胤の姿にせまる特集。

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【目次】

 

総特集◎平田篤胤

 

篤胤と対峙する
宮地正人 幕末維新における篤胤
斎藤英喜 異貌の平田篤胤――近世神話・異端神道・ファシズム
大塚英志 柳田國男と平田篤胤――「固有信仰」の来歴をめぐって
東 雅夫 侏儒のごとき、鏡花の面影……
安藤礼二 意味の母型(マトリクス)――契沖、宣長、篤胤
中川和明 平田篤胤主要作品解題

討議
小川豊生×斎藤英喜×山下久夫 篤胤はゆれうごく

篤胤を読む
山下久夫 宣長・秋成・そして篤胤――「復古」の構図をめぐる問題
前田 勉 「無学の人」の「大和心」
松本久史 平田篤胤は国学者か
島田英明 平田篤胤の「学者ぎらひ」――政治学的考察
森 瑞枝 史学から神秘学へ――『赤県太古伝』私論
アン・ウォルソール ジェンダーから分析する平田篤胤の思想

篤胤はどこから来たか
小川豊生 篤胤のなかの中世――〈一神〉論の系譜をめぐって
伊藤 聡 平田篤胤のなかの中世神道
田中康二 平田篤胤のなかの本居宣長
宮川康子 『出定笑語』と『出定後語』
彌永信美 〈偽−密教/神道儀軌〉の作者としての平田篤胤――『密法修事部類稿』末尾の「久延彦行法」について
金沢英之 『霊の真柱』の世界像――宣長・中庸から篤胤へ

拡張していく篤胤
友常 勉 平田篤胤のノエマ‐ノエシスとハイパー国学
檜垣立哉 魂はどこにいるのかという問い――カントから平田篤胤へ
大出 敦 魂(たま)の行方――ポール・クローデルの平田篤胤
平藤喜久子 奇人と奇縁の神話研究――レオン・ド・ロニと平田篤胤
石橋直樹 看取され逃れ去る「神代」――平田篤胤の歴史記述を読む

平田家と平田派
三ツ松 誠 激烈組!
天野真志 平田篤胤の残影――秋田藩士としての平田家とその周辺
相澤みのり 明治初年の平田家と「気吹舎蔵版」
熊澤恵里子 民衆はなぜ篤胤の語りに魅せられたのか――平田家三代と気吹舎

響きつづける篤胤
島薗 進 折口信夫の平田篤胤評と明治後期以降の神道界
昆野伸幸 近代のなかの平田篤胤
栗田英彦 異界としての皇国――平田篤胤の身体技法論と「多孔的な自己」の近代
並木英子 本田親徳とは何者か――「産土神」と「死後の魂の行方」の思想をもとに考える

異界をみつめて
岩田重則 平田篤胤の霊魂観再考――自身の葬墓と神社
増田友哉 篤胤の死後世界における罪と罰のゆくえ――訛伝としての地獄
渡 勇輝 「古」を幻視する――平田国学と柳田民俗学
杉本好伸 平田本『稲生物怪録』の位相――〈諸本〉を視座に
今井秀和 虚と実の垣根を揺らす魔法の書(グリモワール)――『仙境異聞』と江戸文芸
木場貴俊 「近世怪異文化史からみた平田国学」覚書
稲生知子 〈稲生物怪録〉の再生産と平田篤胤――子孫としてのまなざしから