定価1,760円(本体1,600円)
発売日2023年11月27日
ISBN978-4-7917-1455-1
私たちの「感情」はどこからきて、どこへゆくのか?
怒り、喜び、悲しみ、恐怖、嫌悪、恥、誇り……これらさまざまな感情は私たちの身体に由来するものでありながら、同時に社会・政治・文化の領域とも深くかかわっている。そうした感情の歴史をたどり、感情から歴史を見つめることは何を照らし出すのか。本特集では感情史研究の最前線を、それらと共鳴しうる多様な分野の実践にも広く目を向けながら一望する。
[目次]
特集*感情史
【DISCUSSION】
感情がひらく越境と革新の可能性 / 小野寺拓也+森田直子
【EMOTIONS THAT MATTER】
感情の進化 / 長谷川眞理子
ひらかれた感情史のために / 伊東剛史
感情史のかたち / 長谷川貴彦
「感情史」によせて思う――心性・感性・共感 / 長谷川まゆ帆
感情史とフランス――アラン・コルバンの貢献 / 小倉孝誠
南アジア歴史研究における感情をめぐって――予備的サーヴェイ / 粟屋利江
【SECRET HISTORIES OF...】
ひとつになること――西方キリスト教の感情史探訪 / 後藤里菜
経済学者の猫語り――革命前夜のフランスで「感情体制」はどう変わったか / 貝原伴寛
湿性(モイスチュア)と原感情の歴史 / 尾形弘紀
「少女」の感情・愛情の変容――近代日本の『少女の友』の巻頭小説から / 今田絵里香
【POLITICS AND ECONOMICS】
ある「世俗的心理学のカテゴリー」が辿り着いたひとつの場所――感情資本主義と共感の領域 / 平田周
理性的治療のイデオロギー?――認知行動療法とストア哲学の政治的言説への転用について / 藤井翔太
消費主義史とエステティクス / 久野愛
公共と情念――いつか来る感情政治学のためのノート
山本圭
「個人的なこと」を奪われないために――ロシアのフェミニズム文学とジャーナリズムに見る女性の感情 / 高柳聡子
【BODY-MIND OF MODERNITY】
近代の感情/情念について――デカルト、スピノザ、ライプニッツから / 谷川多佳子
情動的唯物論――モダニズムにおける霊的なものの系譜 / 遠藤不比人
感情と言葉、言葉とツール――リルケ『マルテの手記』のセンチメントを考察する / 中村靖子
雰囲気学をひらく / 久山雄甫
【連載●「戦後知」の超克●第三五回】
見田宗介の「近代」と「現代」 7 / 成田龍一
【連載●社会は生きている●第一六回】
環境とシステム 2――構造的カップリングの陥穽 / 山下祐介
【研究手帖】
現代思潮と音楽葬 / 田井みのり