ポスト・ディストピア論

-逃げ場なき現実を超える想像力-

円堂都司昭 著

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ポスト・ディストピア論

定価2,640円(本体2,400円)

発売日2023年12月12日

ISBN978-4-7917-7608-5

現実がますますディストピアに接近していく現代、
フィクションは脱出の糸口を示せるか?
古今東西のディストピア作品を集中読解!

『ペスト』『復活の日』『R帝国』『オーガ(ニ)ズム』『Q:A Night At The Kabuki』『日没』『新聞記者』『ユートロニカのこちら側』『白の闇』『密やかな結晶』『声の物語』『眠れる美女たち』『パワー』『持続可能な魂の利用』『大奥』『誓願』『トイ・ストーリー』『クララとお日さま』『恋するアダム』『本心』『ミッドサマー』『夏物語』『すずめの戸締まり』『治療塔』『星に仄めかされて』…

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[目次]
 

Introduction ディストピアの出入口――『ジョジョ・ラビット』「ヒーローズ」

 

Chapter 1 パンデミック/汚染 Pandemic/Pollution
1 警告と預言――『ペストの記憶』『ペスト』『復活の日』
2 穢れとの共生――マンガ・映画・歌舞伎『風の谷のナウシカ』

Chapter 2 統治/分断 Governance/Division
1 パラレル・ワールドの日本――『R帝国』『オーガ(ニ)ズム』『ブラック・チェンバー・ミュージック』
2 収容所のロミオ――『Q:A Night At Th e Kabuki』
3 多様性における天災――『日本沈没2020』『日本沈没 希望のひと』

Chapter 3 情報/監視/記憶 Information/Surveillance/Memory
1 奪われる言葉――『日没』『新聞記者』
2 楽しい管理――『ユートロニカのこちら側』『透明性』
3 忘却という幸福――『白の闇』『見ること』『忘れられた巨人』『密やかな結晶』

Chapter 4 ジェンダー/声 Gender/Voice
1 女たちの奪われた声――『声の物語』『眠れる美女たち』『パワー』
2 アイドルの反抗と従属――『持続可能な魂の利用』欅坂46
3 最優先課題としての出産――『大奥』『侍女の物語』『誓願』

Chapter 5 身体/生命 Body/Life
1 独裁者としての子ども――『トイ・ストーリー』シリーズ
2 人間とAIの距離――『クララとお日さま』『恋するアダム』『本心』
3 生命のサイクルの未来――『ミッドサマー』『夏物語』

Chapter 6 脱出/追放/独立 Escape/Expulsion/Independence
1 子どもの出入口――『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』
2 脱出の挫折――『治療塔』『治療塔惑星』
3 移動を生きる――『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』『太陽諸島』

Postscript すぐ先の希望と「壁」のむこうの希望――「ADELHEID」

 

参考文献

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[著者]円堂都司昭(えんどう・としあき)
1963年生まれ。文芸・音楽評論家。1999年、「シングル・ルームとテーマパーク――綾辻行人『館』論」で第6回創元推理評論賞を受賞。2009年、『「謎」の解像度――ウェブ時代の本格ミステリ』(光文社)で第62回日本推理作家協会賞と第9回本格ミステリ大賞を受賞。著書に『戦後サブカル年代記――日本人が愛した「終末」と「再生」』(青土社)、『ディストピア・フィクション論――悪夢の現実と対峙する想像力』(作品社)、『意味も知らずにプログレを語るなかれ』(リットーミュージック)、共著に『ミステリースクール』(講談社)などがある。