定価5,940円(本体5,400円)
発売日2023年11月25日
ISBN978-4-7917-7605-4
進化論の革命的再構築
ダーウィンが本来的に目ざしていたものは何だったのか?
従来の進化論解釈を超えて、ダーウィン思想の根幹にある〈アルゴリズムのプロセス〉〈デザイン形成の論理〉を検証・展開させ、21世紀のきたるべき生命論を示し、宇宙論そして倫理観までを導きだす。AI研究、ミーム説以降の成果をふまえ、異才デネットが到達した包括的論理の全貌。
[目次]
はじめに
第I部 中間からのスタート
第1章 「どうしてかしら」
1 聖なるものなど、何もないのか?
2 何が、どこで、いつ、なぜ―――またどのように?
3 精神が第一だとするロックの「証明」
4 ヒュームの接近遭遇
第2章 一つの思想が生まれた
1 種のどこがそんなに特殊なのか?
2 自然淘汰――とても信じられないような話
3 ダーウィンは種の起源を説明したのか?
4 ある種のアルゴリズムのプロセスとしての自然淘汰
5 アルゴリズムとしてのプロセス
第3章 万能酸
1 初期の反応
2 宇宙論的ピラミッドへのダーウィンの攻撃
3 デザイン集積の原理
4 研究開発の道具:スカイフックかクレーンか?
5 誰が還元主義を恐れているのか?
第4章 生命の系統樹
1 生命の系統樹はどう視覚化したらよいのか?
2 系統樹の種を色分けすること
3 回顧的戴冠:ミトコンドリア・イヴと姿の見えない起源
4 パターン、過度の単純化、説明
第5章 可能的なものと現実的なもの
1 可能性のグレード?
2 メンデル図書館
3 ゲノムと生体の複雑な関係
4 自然化された可能性
第6章 デザイン空間における現実性の織り糸
1 デザイン空間におけるドリフティングとリフティング
2 デザインゲームにおける不可避の一手
3 デザイン空間の統一性
第II部 生物学におけるダーウィン流の思考
第7章 ダーウィンのポンプに呼び水を入れる
1 ダーウィン時代の未開拓地に戻って
2 分子進化
3 ライフゲームの法則
4 永遠回帰(永久反復)――土台のない生命?
第8章 生物学はエンジニアリングである
1 人工的なものについての科学
2 ダーウィンは死んだ――ダーウィンよ永遠なれ!
3 機能とスペック
4 原罪と意味の誕生
5 チェッカーをするコンピュータ
6 人工品の解釈学、あるいはリバースエンジニアリング
7 メタ・エンジニアとしてのスチュアート・カウフマン
第9章 質を求めて
1 適応主義的思考のパワー
2 ライプニッツ主義パラダイム
3 制約のもとでプレーする
第10章 がんばれカミナリ竜
1 オオカミ少年?
2 スパンドレルの親指
3 断続平衡説:前途有望な怪物
4 ティンカーからエヴァースへ、エヴァースからチャンスヘ――バージェス頁岩のダブルプレー・ミステリー
第11章 控えめな論争
1 無害な異説たち
2 三人の敗者:ティヤール、ラマルク、方向を持った突然変異
3 誰のためになるのか?
第III部 心、意味、数学、そして徳性
第12章 文化のクレーン
1 サルの親戚がミームに出会う
2 身体の乗っ取り屋の侵入
3 ミーム学は科学として成り立つのか?
4 ミームの哲学的重要性
第13章 ダーウィンに心を奪われて
1 知能における言語の役割
2 チョムスキー対ダーウィン:四つのエピソード
3 数々のナイス・トライ
第14章 意味の進化
1 真の意味を求めて
2 ふたつのブラックボックス
3 抜け道ふさぎ
4 未来への安全な移住
第15章 皇帝の新しい心などの寓話
1 王様の剣
2 トウシバ図書館
3 幻の量子重力コンピュータ:ラップランドからの教訓
第16章 徳性の起源
1 多より成る一?
2 フリードリッヒ・ニーチェのなぜなぜ物語
3 貪欲な倫理学的還元主義の若干の変種
4 社会生物学:良いと悪い、善と悪
第17章 徳性をデザインし直すこと
1 倫理学を自然化することは可能か?
2 公募の審査
3 道徳的応急手当への手引き
第18章 一つの思想の未来
1 生命の多様性をたたえて
2 万能酸:取扱注意
註
付録
監訳者あとがき
『ダーウィンの危険な思想』新装版に寄せて
参考文献
人名索引
事項索引
[著者]ダニエル・C・デネット(Daniel C. Dennett)
1942年生まれ。ハーヴァード大学卒業、オックスフォード大学院にて博士号取得。タフツ大学哲学教授、同大学認知科学センター所長。単著に『心の進化を解明する』、『解明される意識』、『ダーウィンの危険な思想』、『解明される宗教』、『思考の技法』(以上、青土社)、『自由は進化する』『スウィート・ドリームズ』(NTT出版)、『心はどこにあるのか』(筑摩書房)などがある。共著に『自由意志対話』(グレッグ・D・カルーゾーとの共著、青土社)などがある。