自然人類学者の目で見ると

長谷川眞理子 著

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自然人類学者の目で見ると

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2023年11月25日

ISBN978-4-7917-7603-0

進化の環境と現代との「ずれ」を可視化する
社会は変わる。技術も変わる。暮らしも変わる。変わっていくのが常だとしても、ヒトという動物にとって基準となるような参照点はないのだろうか? 私はあると思う。
――自然人類学の視点から、国内と国外のさまざまな事象をやわらかく読み解く、驚きと納得の科学コラム集!

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[目次]

まえがき


第一章 現代におけるヒトのすがた 自然人類学の視点から

平均寿命が男女で異なるということ

進化をめぐる間違った理解

地球自然生態系と人間文化生態系

ヒトが「神様」を必要とするのは

人類進化史の中にリーダーはいたのか

永遠に生き続けたいという欲望

ヒトが引き起こす大量絶滅

ロボットに「意味」はわかるのか

進化生物学の現在


第二章 私たちの社会と文化を考える 身の回りからできること

世代と世界観

日本の若者たちの意識

男女混成チームの経済価値

議論の技法を身につける

真夏の日本で考えること

タテ社会でイノベーションは生まれるのか

日本文化の暗黙知

役に立つとはどういうことか


第三章 国際社会と日本の政治 この混沌とした時代に

米議事堂襲撃事件が連想させるもの

リスクへの感受性の鈍さ

地球環境の危機とCOP26

種の絶滅の危険性を想像する

攻撃性の進化と戦争の条件

AIをどのように使いたいか

現代における途上国

政治は「職業」なのか

エビデンスに基づく政策決定とは何か


第四章 学術と大学の自由について 学術会議任命問題の根の深さ

学術会議任命問題

日本において学問とは何か

高等教育の目的とは何か

博士号をめざす若手研究者を支援する

数値で測定できるものしか測定できない

学ぶことと教えること

これからの大学

学術会議任命問題再び


第五章 私のステイホーム・ノート パンデミックをどう見ていたか

コロナショックと都会生活

新型コロナウイルスにどう立ち向かうか

競争信仰を考え直すとき

生物学の行方

自主規制をどのように終わらせるのか


あとがき

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[著者]長谷川眞理子(はせがわ・まりこ)
1952年東京都生まれ。人類学者。総合研究大学院大学名誉教授。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。専門は自然人類学、行動生態学。イェール大学人類学部客員准教授、早稲田大学教授、総合研究大学院大学学長・教授などを歴任し、現在、日本芸術文化振興会理事長。野生チンパンジー、ダマジカ、野生ヒツジ、クジャクなどの研究を行ってきた。最近は、ヒトの進化、科学と社会の関係を研究課題に据えている。主な著書に『世界は美しくて不思議に満ちている』『モノ申す人類学』『ヒトの探究は科学のQ』(以上、青土社)、『進化的人間考』『ヒトの原点を考える』(以上、東京大学出版会)、『オスとメス=進化の不思議』(ちくま文庫)、『私が進化生物学者になった理由』(岩波現代文庫)、『人、イヌと暮らす』(世界思想社)などがある。