女だろ!

-江戸から見ると-

田中優子 著

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女だろ!

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2023年11月25日

ISBN978-4-7917-7602-3

心の中に江戸時代をしつらえ、現代社会を深く捉える。
箱根駅伝で監督が選手に発したある呼びかけを機に規範的な男女イメージを問い直す「女だろ!」、子連れの女性がスーパーで投げかけられた言葉に端を発する論争を考える「七夕とポテサラ」、江戸時代の社会的距離と密の文化をパンデミックの現代に重ねる「密が育てた文化」など、江戸の価値観から現代社会を深く捉えた珠玉の連載コラムを書籍化。

「どこの歴史でも、いつの歴史でも良い。やはり歴史を知ることは大事だ。視野が広がり、多面化する。異なる時代の異なる失敗の只中に立つこともできる。自分の中に江戸時代をしつらえておくことで、私はそう思えるようになったのである。」(「あとがき」より)

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[目次]

まえがき

Ⅰ 江戸から見ると 2020年
東京物語に呼応して/河鍋暁斎の嵐の中で/数学と暦学と天文学/不安から自立へ/ヴェネツィア・東京/多様性を生かす「配慮」/能の霊的世界/文人の日朝交流/水中考古学/今年の3・11/日常を編集し直す/上巳の節句/花見の日記/経済活動が止まっても/食べごしらえ/初夏/コロナ後の大学/おうちで働こう/閏四月/距離を置く/歩く/夏真っ盛り/女たちの端午/沖縄慰霊の日を過ぎて/政治とカネ/東京一極集中回避/東京の格差回避/女性の政治進出に思う/祈りの旅/学問なき政治家たち/終戦記念日が過ぎて/七夕とポテサラ/カジノでいいの?/四谷怪談の季節/八朔/密が育てた文化/十五夜/教師の役割/女性リーダーの役割/忖度と恐怖/菊の節句/見せしめと萎縮/酉の市/質素と自由の国/学びの時間/生きる時間/言葉の深化/本の森を歩く/場所の個性、人の可動性

Ⅱ 江戸から見ると 2021年
改まる日/英雄/喝! 何?/女だろ!/仕事/一七の目標/新春と農業/貧困/ジェンダー平等/サムライ問答/明治時代の東京/進学率過去最高/隠居/死という到達点/最後の文人/刀剣/人文社会科学/アジア系差別/配偶者の選択/憲法二四条/憲法前文の日本/日本化の過程/性風俗という仕事/琉球弧/さつきに考える循環/短冊に書く願いは/水無月/同性婚/為末大/ざわつく日本美術/楽日憂日/過集中/内発的発展/花の山姥/見えない江戸東京を見る/新・江戸東京学/江戸人の頭の中を再現/首相が代わっても/今日から晩秋/企業の教育改革支援/遊廓と日本人/刀剣という難問/組紐/「家」が途絶えたら/白土三平さん/着物と数字/母親大会/落語と長屋/浮世絵劇場

あとがき

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[著者]田中優子(たなか・ゆうこ)
1952(昭和27)年神奈川県生まれ。江戸文化研究者。法政大学名誉教授。同大学江戸東京研究センター特任教授。法政大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程満期退学。法政大学社会学部教授、社会学部長、同大学第19代総長を歴任。『江戸の想像力』で1986年度芸術選奨文部大臣新人賞(評論その他部門)を受賞、『江戸百夢』で2000年度芸術選奨文部科学大臣賞(評論その他部門)と2001年サントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞。2005年紫綬褒章受章。『毎日新聞』紙上で連載されたコラム「田中優子の江戸から見ると」の2015年~2017年を『江戸から見ると 1』、2018年~2019年を『江戸から見ると 2』として、いずれも青土社より刊行。