定価2,200円(本体2,000円)
発売日2023年11月25日
ISBN978-4-7917-7598-9
もし先生がいなかったら、いまの私はなかった。だが、どうして私には先生が必要だったのだろうか。いや、そもそも、探究者は、どうして先生を必要とするのか。
先を歩んだ知者から〈問い〉を受け渡され、その一部を引き継ぐこと。そのありようと内実を明晰な筆致で書き記した、ユニークな知の探究書。大澤社会学のルーツ。
「〈先生〉との出会いを通じてはじめて、本質的な〈問い〉が現れる。〈先生〉は知っていることの充足性を、問うことの開放性へと転換する。私にとってそのような意味をもった〈先生たち〉についての論集が、本書である。」(「まえがき」より)
[目次]
まえがき
Ⅰ
見田宗介 先生と私
翼をもち、そして根をもつこと
Ⅱ
中井久夫 リゾームではなくオリヅルラン――社会学者はなぜ中井久夫を読んできたのか
磯崎 新 理不尽な生成の場
中村 哲 積極的中立の提案
吉本隆明 「関係の絶対性」に殉じた思想
中上健次 いかにして〈路地〉を普遍化するのか
親鸞 法然、親鸞、そして聖霊へ
織田信長 理性の狡智――本能寺の変における
Ⅲ
ドストエフスキー ドストエフスキーの二つにして一つのテーマ――神と金
ベネディクト・アンダーソン 文化の換喩的翻訳者
ハンナ・アーレント 日本人はあの「革命」の敗者に共感している――明治維新再考
マックス・ヴェーバー 社会学史上最も美しい理論
ジャン=ジャック・ルソー 一般意志は全体意志にあらず
ヴァルター・ベンヤミン 〈今の時〉に充たされた時間――「歴史の概念について」をめぐって
ミヒャエル・エンデ さがせ、さらば見出すであろう
あとがき
[著者]大澤真幸(おおさわ・まさち)
1958年、長野県松本市生まれ。社会学者。東京大学文学部卒業。同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。1988年、『行為の代数学』(青土社)において独自のシステム論を展開し、社会学界に大きな影響を与える。その後も数々の著作を発表、2007年に『ナショナリズムの由来』(講談社)で第61回毎日出版文化賞を受賞、2015年に『自由という牢獄――責任・公共性・資本主義』(岩波書店)で第3回河合隼雄学芸賞を受賞。2010年より個人思想誌『THINKING「O」』を主宰。文芸誌『群像』誌上で「〈世界史〉の哲学」を連載中。