定価4,620円(本体4,200円)
発売日2023年11月14日
ISBN978-4-7917-7455-5
破壊される瞬間に、彫刻はもっとも光り輝く――
彫刻を「思想的課題」と自らに任じ、日本近現代の政治・歴史・教育・芸術そしてジェンダーを再審に付す。問い質されるは、社会の「共同想起」としての彫像。公共空間に立つ為政者の銅像が、なぜ革命・政変時に民衆の手で引き倒される無残な運命に出遭うのか――。画期的かつ根源的な思索の書。

[目次]
プロローグ
1部 彫刻をめぐって
1. 彫刻という名前
2. われ記念碑を建立せり――「水俣メモリアル」を再考する
3. 彫刻の問題――加藤典洋、吉本隆明、高村光太郎からの回路をひらく
4. 不可視の記念碑
5. モニュメント・マスト・フォール?――BLMにおける彫像削除をめぐって
6. 彫刻とはなにか――「あいちトリエンナーレ2019」が示した分断をめぐって
7. 女性裸体像はいつまで裸であらねばならないのか?
8. なぜ女性の大彫刻家は現れないのか?
9. 箱をひらく――ジャコメッティの彫刻とコレクション/キューレイション/エキシビジョン
10. 三島由紀夫への手紙
2部 固有の場所から
1. 爆心地の矢印[長崎]――矢形標柱はなにを示したか
2. この国の彫刻のために[長崎]
3. 彫刻を見よ[東京]――公共空間の女性裸体像をめぐって
4. 拒絶から公共彫刻への問いをひらく[福島]
――ヤノベケンジ《サン・チャイルド》撤去をめぐって
5. 被爆者なき後に[広島]――広島平和記念資料館
6. ″私はあなたの「アイヌ」ではない″ [白老]――ウポポイ(民族共生象徴空間)
7. 「過去」との絶え間ない対話のために[韓国]――《平和の女子像》をめぐって
8. 旧多摩聖蹟記念館[東京]――台座の消失と彫刻/彫塑のための建築
3部 時代との共鳴
1. ウェブ版「美術手帖」ファイル
1. ナガサキのあとに彫刻は作れるのか――「森淳一 山影」
2. 共産主義と資本主義の裂け目で
――The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project
3. 彫刻という困難――小谷元彦「Tulpa-Here is me」
4. なぜ女性の大彫刻家は現れないのか?――青木野枝「霧と山」
5. 私たちは何を学べるのか? ――「表現の不自由展・その後」評
6. 公共建築から芸術祭へ――到達/切断地点としての「ファーレ立川」
7. 美術史という「語り」を再考する――コレクション特集展示ジャコメッティと=
8. 名の召喚――柳幸典展
9. 「傷ついた風景の向こう」に見えるもの
――DOMANI・明日 2020 傷ついた風景の向こうに
10. 帰宅困難と自宅待機――Don't follow the Wind
11. コロナ禍は美術館に何をもたらすか?
――『ラディカル・ミュゼオロジー』『美術館の不都合な真実』を手がかりに
12. 女性器が「選ばれない」世界で――遠藤麻衣×百瀬文 新水晶宮
13. 「歌う」から「語る」へ――彼女たちは歌う Listen to Her Song
14. 「個」と「公」を仲立ちし、 たぐり寄せる。――加藤翼「Supersturing Secrets」
15. マテリアル・マテリアリズム・マテリアリスト――カタルシスの岸辺 「光光DEPO」
16. 相次ぐ告発、美術業界の変化のただ中で――居場所はどこにある?
2. 「東京新聞」ファイル
1. 彼女たちは歌う
2. アイヌの美しき手仕事
3. 性差の日本史
4. 石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか
5. 小泉明郎+オヤマアツキ「王の二つの身体」
6. シアターコモンズ/第13回恵比寿映像祭/TPAM
7. アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド――建築・デザインの神話
8. 女が5人集まれば皿が割れる
9. 膠を旅する――表現をつなぐ文化の源流
10. 白川昌生展 ここが地獄か、天国か。 6 Wii Fit――測りながら続ける身体
11. 山城千佳子リフレーミング
12. ロニ・ホーン――水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
13. Viva Video!――久保田成子展
14. イミグレーション・ミュージアム・東京多国籍美術展
3. ぐるぐるキョロキョロ展覧会記――『芸術新潮』ファイル
1. コレクションを活かす/隠す
2. 越境者を照らす光――ヤン・ヴォーーォヴ・ンヤ
3. “世界初”の国際芸術祭は新たな基準となるか
――ヨコハマトリエンナーレ2020 「AFTERGLOW光の破片を捕まえる」
4. 選べない私を選ぶ鴻池朋子
――ちゅうがえり ジャムセッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子
5. 名品という視座を味わう――もうひとつの江戸絵画大津絵
6. 排除と収奪の日本史――性差の日本史
7. サイレンスを見つめる
――ミヒャエル・ボレマンス マーク・マングー―ダブル・サイエンス
8. 希代のプロモーターの原点を知る――式場隆三郎「脳室反射鏡」
9. 幻視者が問いかけるもの――平成美術:うたかたと瓦礫1989-2019
10. どっちだと思う?
――アネケ・ヒューマン&クミ・ヒロイ、潮田登久子、片山真理、春木麻衣子、細倉真弓、そして、あなたの視点
11. 時の可能性と対峙する――3・11とアーティスト:10年目の想像
12. 歴史の編み目をくぐり抜ける
――ホー・ツーニェンヴォイス・オブ・ヴォイド――虚無の声
13. 風穴を開け、空気を入れ換える――SIDE CORE presents EVERY DAY HOLIDAY SQUAD soloexhibition"underpressure"
14. 差異に宿るエナジー
――アナザーエナジー展:挑戦し続けるカ――世界の女性アーティスト一六人
15. 破滅と熱狂、その先に――加藤翼 縄張りと島
16. 残/遺されたものを見る――Walls & Bridges 世界にふれる 世界を生きる
17. むき出しの写真と対峙する――ユージン・スミスとアイリーン・スミスが見たMINAMATA
18. 背後の戦争画――小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌
19. 「3・11から一〇年」の影に――せんだいメディアテーク開館二〇周年展 ナラティブの修復
20. 開かれた「フェミニズム」へ向かって――ぎこちない会話への対応策――第三波フェミニズムの視点で
21. 地球を感知する場――池内晶子あるいは、地のちからをあつめて
22. 「人類よ消滅しよう」――生誕一〇〇年 松澤宥
23. 稀有な複数性の発露 Chim↑Pom 展
24. 未然の迷宮─―森村泰昌:ワタシの迷宮劇場
25. 版画に宿る抵抗の精神――彫刻刀が刻む戦後日本
26. 見ること、極限の問い――ゲルハルト・リヒター展
27. 交差点としての美術展――アーティスト支援プログラム
あとがき

[著者]
小田原のどか(おだわら・のどか)
1985年仙台市生まれ。彫刻制作と並行して、評論活動や展覧会企画を行う。複数の大学で非常勤講師や出版社代表も務める。芸術学博士。著書に『近代を彫刻/超克する』(講談社)。