フーコーと精神医学

-精神医学批判の哲学的射程-

蓮澤優 著

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フーコーと精神医学

定価3,960円(本体3,600円)

発売日2023年9月26日

ISBN978-4-7917-7570-5

「狂気」の治療は本当に必要なのか。「正常な人間」は存在するのか。
ひとを規格に押し込める治療ではなく、主体を自由にし、ただひとりの自分自身でありうる治療を目指して。その歴史から司法精神医学制度の現在地にまでアプローチする。臨床医の著者が戸惑いながら考え、精神医学と哲学の専門知を往還する唯一無二の書。

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[目次]

序章

第一部 フーコーの歴史記述の方法論的意義
第一章 問題の導入――超越論的なるものの歴史化
Ⅰ カントのアポリア
Ⅱ フランスにおける科学認識論の伝統のなかでのカント――バシュラールのカント論
Ⅲ 『言葉と物』における知の考古学の自己規定

第二章 考古学
Ⅰ 『知の考古学』の概要
Ⅱ 知の考古学の射程と限界

第三章 系譜学
Ⅰ 知と権力
Ⅱ 『道徳の系譜学』のフーコーによる変奏
Ⅲ 系譜学の整合性
Ⅳ 系譜学の超合理主義的な横滑り
Ⅴ 権力への「抵抗」の問題

第四章 倫理学
Ⅰ 主体の回帰?
Ⅱ フーコーの啓蒙論
Ⅲ 啓蒙論の源流
Ⅳ プラグマティズムとエピステモロジー
Ⅴ カントへの応答としての歴史記述の意義――第一部の結論にかえて

第二部 歴史記述を通じたフーコーの精神医学批判の意義
第五章 「正常な人間」の死
I 精神病理学の人間学的基礎付け――『精神疾患と人格』
II 『精神疾患と人格』の問題点とその後の改稿
III 「『夢と実存』序文」におけるフーコーの現象学的人間学
IV フッサールからハイデガーへ――「『人間学』序文」
Ⅴ 有限性の歴史

第六章 狂気の言葉を求めて
Ⅰ 『狂気の歴史』の概要
Ⅱ 歴史書としての『狂気の歴史』の問題点
Ⅲ 『狂気の歴史』の哲学的意義
Ⅳ ピネルにおけるモラル療法の意義

第七章 治療と権力――反精神医学・精神分析・「自己の技法」
Ⅰ 精神医学における真理と権力――『精神医学の権力』講義
Ⅱ 精神医学の権力に抗うのは誰か――七四年度講義の方法論的問題
Ⅲ 権力ゼロの精神療法?
Ⅳ 霊性と精神分析
Ⅴ 「自己の技法」
Ⅵ 精神医学における主体化

第八章 あらたなる閉じ込め?――刑罰ポピュリズムの時代における司法精神医学

日本における刑罰ポピュリズムと司法‐治療的リスク統治――第八章への補遺

終章

あとがき
文献一覧
人名索引 

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[著者]蓮澤優(はすざわ・すぐる
1980年生まれ。九州大学大学院医学系学府医学専攻博士課程修了(精神病態医学)。パリ東大学人文社会学部博士課程修了(哲学)。2009年度、2010年度フランス政府給費留学生。福岡県立精神医療センター太宰府病院等勤務を経て、現在は九州大学キャンパスライフ・健康支援センター准教授。著書にL’autre tour de folie (L’Harmattan、近刊)がある。