現代思想2023年9月号 特集=生活史/エスノグラフィー

-多様な〈生〉を記録することの思想-

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現代思想2023年9月号 特集=生活史/エスノグラフィー

定価1,870円(本体1,700円)

発売日2023年8月28日

ISBN978-4-7917-1451-3

人生=生活を聴き、見つめ、書き残すことの意味を問う
参与観察、オーラルヒストリー、自伝的民族誌……ひとびとの営む多様な「生」をフィールドに立って記録することで、この社会を、歴史を、現実を理解し描き出すべく、これまでさまざまな方法が編み出されてきた。本特集ではますます高まりゆくその重要性を、社会学・人類学から民俗学、ルポルタージュまで分野を超えてひろく検討したい。

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[目次]

 

特集*生活史/エスノグラフィー――多様な〈生〉を記録することの思想

 

【討議】
距離・時間・ディテール――生活史/エスノグラフィーを書き、読む / 石岡丈昇+打越正行+岸政彦


【多様な「語り」への向き合い方】
「供述調書」とエスノグラフィーのすきまに――日本近代の〈ことば〉と〈もの〉 / 佐藤健二
未来から「重ね書き」する社会調査――物語世界・可能世界・運動体 / 有薗真代
層を重ねる――いわゆる「エリート・オーラル・ヒストリー」の再定義 / 佐藤信
事件の語り/語りの事件――現代人類学から見る生活史とエスノグラフィー / 里見龍樹
『語ってくんちぇ 聞かせてくんちぇ』を生きた女性――飯舘村・菅野テツ子のむかし語りをよむ / 鵜野祐介
誰が誰の話を誰に語っているのか?――複数の声が紡ぐ「実話怪談」という運動 / 吉田悠軌


【傾聴と応答の倫理をめぐって】
すぐ、もうしょっちゅう、ずっと――〈現象学的な質的研究〉と経験のリアリティ / 村上靖彦
ゴーヤーはなるべく薄く切って――「差別の経験の語りをどのように聞くのか?」という問いについて / 下地ローレンス吉孝
生きられた経験と類型化は水と油か?――現象学的アプローチにもとづくインタビュー過程の検討を通じて / 島袋海理


【問いにして答えである〈私〉】
当事者を書く――専門家の死角とオートエスノグラフィ:言説の独占を解体し「語る主体」の権利を回復する / 石原真衣
AV女優の書けない言葉 / 鈴木涼美
フェミニスト・エスノグラフィと「聞き書き」の実践 / 中村沙絵
語りを撮る / インベカヲリ★
何度でも言う、「説明するのは面倒くさい」し、「飲み会は重要です」 / 矢吹康夫


【方法の探究、実践への誘い】
ライフヒストリーレポートの書かせ方――とある民俗学講師の試み / 菊地暁
社会学的モノグラフと方法論的多元主義 / 川野英二
岸政彦の「生活史」をアクターネットワーク理論と接続する / 伊藤嘉高



【特別寄稿●追悼*立岩真也】
立岩さんは直線上を颯爽と歩く / 川口有美子
立岩真也さんを追想する――一九七九年から二〇二三年 / 小松美彦
掙扎(そうさつ)の人――立岩真也さんを悼む / 美馬達哉

 

【連載●科学者の散歩道●第九六回】
因果律のキャリアーとしての実体――ヒューム人間知性論とマッハの力学批判 / 佐藤文隆

【連載●「戦後知」の超克●第三二回】 
見田宗介の「近代」と「現代」4 / 成田龍一

【連載●社会は生きている●第一四回】 
主体の生態社会学12 多元的一体性――五つの世界のパラレリズム / 山下祐介

【研究手帖】
ペンギンのいないプール / 印牧岳彦