定価2,640円(本体2,400円)
発売日2023年8月28日
ISBN978-4-7917-7576-7
無数の〈声〉を聞き取り、書き残す、
女性史がひらくフェミニズムのかたち
かつて遊廓を生きた女性たちが書いた日記や小説は、時の隔たりをこえて、ふたたび現在に響き始める――。
悲しみ、怒り、苦しむ人びとを、たったひとりにさせないために、人びとの歴史の〈声〉を記憶し、描き出す。
歴史家であり小説家である著者が描き出す、フェミニズムの思想と実践。
[目次]
はじめに 〈声〉をたどる
第一部 生活を形作るさまざまな〈声〉
第一章 たったひとりにさせない/ならないために――危機の時代の分断をこえて
第二章 だれが教育を殺すのか――大学非正規教職員雇い止めの荒野から
第三章 クィアがここに住んでいる――不可視化に抗して
第二部 遊廓のなかに響く〈声〉
第四章 遊廓のなかの「新しい女」――和田芳子『遊女物語』が切り拓いた地平
第五章 ものを読む娼妓たち――森光子と松村喬子の作品に描かれる「読書」を中心に
第六章 闘争の時代の余熱のなかで――森光子『春駒日記』の描く吉原遊廓の日常風景
第三部 響きあう〈声〉
第七章 共鳴する言葉――娼婦から娼婦たちへ
おわりに 〈声〉に耳を傾けること――歴史叙述と小説の境界から
あとがき
[著者]山家悠平(やんべ ゆうへい)
1976年、東京都国立市出身。専門は女性史。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科人文学連携研究者および、京都芸術大学、佛教大学等で非常勤講師を務める。著書に『遊廓のストライキ――女性たちの二十世紀・序説』(共和国、2015年)がある。また、青波杏名義にて『楊花の歌』(集英社、2023年、第35回小説すばる新人賞受賞)を刊行。