現代思想2023年8月号 特集=裁判官とは何か

-家庭から国家まで…法と社会のはざまから問う-

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現代思想2023年8月号 特集=裁判官とは何か

定価1,760円(本体1,600円)

発売日2023年7月27日

ISBN978-4-7917-1449-0

人が人を裁くとはどういうことか
司法の判断には客観性が想定される一方で、その職権は根幹に「良心」という主観的・属人的な概念を前提としている。また大量の判例や法令を高次に処理できる大規模言語モデルの登場により「誰が裁くのか」も急速に揺らぎつつある。本特集ではこうした両義性やゆらぎを踏まえ、裁判官という存在を通じて〈裁き〉をめぐる問いに臨みたい。
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[目次]

 

特集*裁判官とは何か――家庭から国家まで…法と社会のはざまから問う

 

【正義の秤を見つめる】
裁判と裁判官をめぐる幻想 / 瀬木比呂志
個別意見からみる最高裁判所裁判官――第一次夫婦同氏制違憲訴訟判決における寺田逸郎裁判官補足意見を素材として / 渡辺康行
裁判官の良心と法律家共同体の責任――片親疎外論を素材に / 木村草太
裁判官と「表現の自由」――沈黙強制からの自由と良心 / 志田陽子
国際刑事裁判所の裁判官――裁判所の独立と国際政治の狭間で / 竹村仁美

【討議】
性犯罪を裁くシステムと「常識」 / 小宮友根+牧野雅子

【〈裁き〉は誰のものか】
裁判官を裁く――一九七〇年代イタリアにおけるフェミニズムの裁判実践 / 小田原琳 
ゲーテと裁判――嬰児殺しをめぐる詩と真実 / 石原あえか
裁判官の熟慮と直感――アフリカ民族誌の比較視点 / 石田慎一郎

【審判の哲学】
裁判官の良心 / 木庭顕
裁判官は感情に動かされてはならないのか?――「法と感情」研究を手がかりに / 橋本祐子
裁判と時間 / 吉良貴之
裁判官が衡平を実現すること / 伊藤克彦
「バイアス」を問い直す――人間の判断と「客観性」の問題 / 松村一志

【社会にひらかれる法廷】
「無名」の裁き――その隙間で見るもの / 高橋ユキ
心理学からとらえた裁判官という存在 / 綿村英一郎
裁判官の「感動」物語――法の道徳化とメディアコンテンツ化 / 岡沢亮
〈裁き〉のドラマトゥルギー――舞台芸術から考える自己と他者の弁証法 / 本橋哲也 
 

【連載●科学者の散歩道●第九五回】
シュレーディンガーのラストメッセージ――「ウィグナーの友人」とQBism / 佐藤文隆

【連載●「戦後知」の超克●第三一回】
見田宗介の「近代」と「現代」 3 / 成田龍一

【連載●社会は生きている●第一三回】
主体の生態社会学 11――遺伝子と生気論 / 山下祐介


【研究手帖】
魂(マブイ)落としの文学 / 黒沢祐人