定価2,860円(本体2,600円)
発売日2023年5月29日
ISBN978-4-7917-7555-2
思考の根源へ
日常性に依拠し、哲学の諸前提を覆してきた著者が、時間と自我という根源問題に挑む。「アキレスと亀の逆説」「他我問題」を解消し、過去世界の実在をも疑わしめる臨界へと至る、澄明な思考の軌跡。
解説=野家啓一
[目次]
はしがき
*
時間の変造
過去の制作
観測者は邪魔者?
刹那仮説とアキレス及び観測問題
言語的制作(ポイエーシス)としての過去と夢
過去概念の改訂
**
自我と時間の双生
ホーリズムと他我問題
理論概念としての自我と他我
「他我」の意味制作(ポイエーシス)
***
鏡の中の左右
風情と感情
解説 大森荘蔵の「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」 野家啓一
[著者]大森荘蔵(おおもり・しょうぞう)
1921年岡山県生まれ。1944年に東京大学理学部物理学科を卒業、1949年に同大学文学部哲学科を卒業。東京大学教養学部教授、放送大学教授を歴任。独自の哲学を打ち立て、多くの後進に多大な影響を与えた。著書に『物と心』『新視覚新論』ほか多数。本書『時間と自我』にて第5回和辻哲郎文化賞受賞。1997年没。