ドーピングの歴史

-なぜ終わらないのか、どうすればなくせるのか-

エイプリル・ヘニング、ポール・ディメオ 著,児島修 訳

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ドーピングの歴史

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2023年5月26日

ISBN978-4-7917-7560-6

スポーツの未来のために、その歴史を洗い直す
ドーピングの歴史は近代スポーツの誕生とともに始まった。オリンピックでの「死亡事故」、ステロイドの流行、有名選手の醜聞、国家ぐるみのドーピング――。しかしドーピングにつきまとうスキャンダラスなイメージは、世界アンチ・ドーピング機構の独占的な権力やアスリートの置かれた窮状を覆い隠している。現行の防止策の限界を指摘し、センセーショナルに語られてきた逸話を丹念に洗い直す。ドーピング史の決定版。

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[目次]

はじめに

第一章 近代スポーツにおけるドーピングとアンチ・ドーピングの起源
初期の実験
アンチ・ドーピングの誕生

第二章 覚醒剤(スピード)とステロイド
アンフェタミン類
ステロイド
スポーツは日常生活を映す鏡
スポーツの意味をめぐる戦いの始まり

第三章 ドーピング検査の始まり
ドーピング検査の起源、イタリア
道徳と邪悪
ルールと検査の具体化
初期のアンチ・ドーピングに対する反応

第四章 ドーピング、流行病となる
負け戦の開始
検査の開発
ステロイドをめぐるモラル・パニックとその影響

第五章 無邪気な時代の終わり
ベン・ジョンソン――一般大衆の認識を変えたオリンピック・スキャンダル
ジョンソン・スキャンダルへの反応
東ドイツのシステムが明らかに
運動能力向上の文化

第六章 スキャンダルに立ち向かう
スポーツ界と一般社会で認識されているステロイドのリスク
難しい事例
批判のエスカレート――命も奪うEPO
一九九八年のツール・ド・フランスのスキャンダル
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)

第七章 新たなアプローチ
変わらぬ状況
二〇〇三年版の世界アンチ・ドーピング規程
成功
組織的ドーピングは続く
自転車競技――組織的ドーピングの改革
ロシア・クライシス

第八章 問題と提言
アンチ・ドーピングの効果のなさ
新型コロナウイルスとアンチ・ドーピング
巻き添え被害
アマチュアのアスリート
アスリートに関わってもらい、組織的ドーピングに対応する
前進する道

謝辞
写真に関する謝辞
参考文献
訳者あとがき
索引

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[著者]エイプリル・ヘニング(April Henning)
スコットランド、スターリング大学講師。専門はスポーツ科学。共著にPerformance Cultures and Doped Bodies:Challenging Categories, Gender Norms, and Policy Responses (パフォーマンス文化とドーピング化された身体――カテゴリー、ジェンダー規範、ポリシーレスポンスへの挑戦、未邦訳)がある。

[著者]ポール・ディメオ(Paul Dimeo)
スコットランド、スターリング大学准教授。専門はスポーツ科学(特にアンチドーピング)。著書にA History of Drug Use in Sport, 1876–1976(1876-1976年におけるスポーツにおける薬物使用の歴史、未邦訳)、The Anti-Doping Crisis in Sport(スポーツにおけるアンチ・ドーピングの危機、未邦訳)などがある。

[訳者]児島修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。訳書に『ランニング王国を生きる――文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』『Good to Go――最新科学が解き明かす、リカバリーの真実』(共に青土社)、『シークレット・レース――ツール・ド・フランスの知られざる内幕』(小学館文庫)など。