定価1,760円(本体1,600円)
発売日2023年3月27日
ISBN978-4-7917-0429-3
花と恋して九〇年——NHK連続テレビ小説『らんまん』放送記念
文久土佐に生まれた牧野富太郎が「日本植物学の父」として近代アカデミズムとも交差しながら採集し、論文を書き、雑誌を作り、地域に根づき同好会を後援してきたその営為とはなんであったのか、植物を愛した牧野富太郎のまなざしに降り立ち、牧野とともに植物の思考に分け入ってみるとしよう。
【目次】
特集*牧野富太郎の世界――草と花と人々と
❖対談
植物の夢をみる――多孔性、8Kの眼、詩 / いとうせいこう 藤原辰史
❖牧野富太郎の夢
牧野富太郎小伝 / 大場秀章
牧野富太郎先生と分類学の未来 / 長谷部光泰
東京都立大学・牧野標本館と牧野博士の植物標本 / 村上哲明
翁の二つの庭――練馬区立牧野記念庭園と高知県立牧野植物園 / 原瑠璃彦
❖牧野植物園へ
植物画の感動から建物へ / 内藤廣
みどり色とさくら色 / 菅原一剛
「名もなき花は」 / 七尾旅人
❖唯名論と実在論
牧野富太郎と方言――ナニワズを一例として / 田中純子
植物の名を正す――牧野富太郎の見果てぬ夢 / 鶴田想人
インゲンマメはでたら名(めい)――牧野富太郎と本草学 / 島村幸忠
寿衛子と寿恵子の虚と実の笹 / 串田純一
❖創作
千人目の富太郎 / 渡辺松男
❖近代日本植物学事始
牧野富太郎博士と東京大学植物学教室 / 長田敏行
矢田部良吉――東大ハーバリウムをつくった男 / 清水晶子
牧野富太郎の山歩き――植物採集の王国 / 瀬戸口明久
戦う植物学者たち――日本の植物学の自立と競争的科学観 / 中尾暁
牧野富太郎と南方熊楠を分けたもの――官と民のあいだの植物学 / 志村真幸
❖Makinoのもとに
植物愛とアレロパシー / 與謝野文子
ソラリスの海の方へ――牧野学からソラリス学へ / 銅金裕司
❖マキノ・ミクロコスモス
ヴェジタブルな自画像――牧野標本館の前で / 高山宏
植物学者と絵画の周辺 / 藏田愛子
図鑑と足元のあいだで――環境批評家として牧野富太郎をみる / 青田麻未
牧野富太郎とタネ採り農家からみる植物と人間との生命の関わり / 河合史子
植物への愛、知への愛――植物の哲学の条件 / 宇佐美達朗
❖植物の詠み人
ブックガイド 牧野富太郎から植物の詩情へ / 大久保ゆう
❖忘れられぬ人々*18
故旧哀傷・高清一郎 / 中村稔
❖物語を食べる*26
男たちは珍味の国をめざす / 赤坂憲雄
❖詩
LOTUS / 桜井夕也
❖第28回中原中也賞発表
青柳菜摘『そだつのをやめる』
受賞詩集より――ユキちゃんユキちゃん ソテツはぼくの名前 セミ グラウンド・タイム・スケープ 外側の動物園
荒川洋治 井坂洋子 佐々木幹郎 高橋源一郎 蜂飼耳
❖今月の作品
木下多尾・広橋山羊・渡辺八畳・田上友也 / 選=大崎清夏
❖われ発見せり
超高速で静止する魂 / 菅原百合絵
表紙・目次・扉=北岡誠吾