定価1,760円(本体1,600円)
発売日2023年3月27日
ISBN978-4-7917-1444-5
遍在する〈教育現場〉から問う
教育の現場は、学校や家庭にとどまらない。その輪郭は日々形を変え、そこで扱われる問題も多様化している。教育とは、いつどこで、何を教える/学ぶべきなのか。長らく議論され続けながらも古びることのないこの問いに改めて向き合いながら、本特集では教育をめぐる最新の状況を議論する。
[目次]
特集*カルト化する教育――新教科「公共」・子どもの貧困・学校外教育
【討議】
新自由主義再編下の宗教とイデオロギー / 大内裕和+三宅芳夫
【現場のリアル】
性的マイノリティの若者の学校体験とその後 / 杉田真衣
教育と市場、ときどき身体――「新自由主義」批判を超えて / 矢野利裕
先生、わたしたちは主体的なのですか? 自由なのですか? それとも――生権力に統治される学校と新自由主義的学校化 / 岡崎勝
【〈育てる〉を問い直す】
選抜構造論からみた日本の教育――日本で入試の公平性が重要となる社会学的理由 / 中村高康
自覚的な「客分」を育む主権者教育の方へ――新教科「公共」の性格をめぐる覚書 / 和田悠
哲学はどのような意味で現代日本の学校教育に求められているのか――「方法論」としての哲学と、「知識」としての哲学 / 土屋陽介
理科離れ再考――ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの視点から / 加納圭
キャリア教育は「未来の可能性領域」とどう関わるか?――「庭づくり」のメタファーから考える / 土元哲平
【教室の外には】
児童養護施設と「教育」をめぐる問題 / 三品拓人
戦後日本の夜間中学と識字運動――就学と識字を巡るアポリアを超えて / 江口怜
おもちゃ箱としての「居場所」に投げ入れられているものはなにか? / 阿比留久美
コロナ禍と教育――生活困難層調査が浮き彫りにする課題 / 山田哲也
【労働をめぐって】
保育労働の現在――新自由主義的保育政策とその帰結 / 蓑輪明子
「忙しくない」を考える――教師の多忙化論の先へ / 野村駿+菊地原守
給特法下の「禅問答」に終止符を――二つの判例から考える制度の矛盾と現場の力 / 赤田圭亮
【連載●科学者の散歩道●第九一回】
量子情報の前哨戦――「世紀転換期」のウィーン / 佐藤文隆
【連載●「戦後知」の超克●第二七回】
柄谷行人における「世界史」の問い方 10――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
【連載●社会は生きている●第九回】
主体の生態社会学 7――基体から主体へ / 山下祐介
【研究手帖】
「共生」と「真の民主主義」 / 上野貴彦