女性ジャズミュージシャンの社会学

-音楽性・女性性・周縁化-

マリー・ビュスカート 著,中條千晴 訳

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女性ジャズミュージシャンの社会学

定価2,860円(本体2,600円)

発売日2023年4月12日

ISBN978-4-7917-7543-9

才能なのか、ジェンダーなのか?
声や歌という「女性らしい」音楽的役割へと疎外される女性ジャズシンガーたち。圧倒的な「男社会」の中でマイノリティとして「ガラスの天井」にぶつかる女性器楽奏者たち。「才能の神話」はどのようにしてジェンダー不平等を覆い隠すのか?
芸術世界におけるジェンダー平等の議論に一石を投じ、フランスで大きな評判を呼んだ、労働・芸術・ジェンダーが切り結ぶ社会学。

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[目次]

まえがき(ハワード・S・ベッカー)

序章

第一章 階層的であり飽和したプロの世界

第一部 女性ジャズシンガー、かぎりなく「女性的」な職業

第二章 ボーカルジャズ、商業ジャズ、ジェンダー化されたジャズ

第三章 限りなく「男性的」な世界で、限りなく「女性的」であること

第四章 声は楽器ではない

第五章 抗い難い「女の」誘惑

第六章 アマチュアボーカルジャムセッション――虚しき性の逸脱?

第二部 「凄い女(やつ)ら」という呪縛

第七章 非常に「恵まれた」若い女たち

第八章 辿り着けない安定した仕事のネットワーク

第九章 男の世界にいる女性たち――両立しえないものの両立?

第一〇章 公的な領域で「女らしさ」を管理する――蔑視、中立、性的な魅力

結論

方法論についての付録

参考文献

あとがき 「もう一一年……だが(ほとんど)何も変わらない」

参考文献(新規追加)

謝辞

訳者あとがき

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[著者]マリー・ビュスカート Marie Buscatto
パンテオン・ソルボンヌ大学(パリ第1大学)社会学教授。専門分野は労働・芸術・ジェンダーの社会学であり、質的調査の専門家でもある。フランス、アメリカ、日本の音楽・芸術業界における女性アーティストをめぐる状況についてフィールドワークを重ねてきた。現在は、芸術界への女性の参入や労働環境、また芸術界におけるジェンダーに基づく暴力(GBV)をジェンダー論の視点から研究している。主な著作に、“Jazz as a way to escape one’s social “destiny”. Lessons from Japanese professional jazz musicians”(Jazz Research, 50/51, 2023)、La très grande taille au féminin (CNRS ÉDITION, 2022)、Sociologies du genre - 2e édition (ARMAND COLIN, 2019) などがある。

[訳者]中條千晴(ちゅうじょう・ちはる)
1985年生まれ。リヨン高等師範学校人文社会科学東アジア研究所にて修士号を取得したのち、リヨン大学博士号取得。専門はメディア文化論、フェミニズム。フランス国立東洋言語文化学院日本学部特任講師を経て、2023 年4月より東京外国語大学国際日本学部特任講師。訳書に、アンジェラ・マクロビー『クリエイティブであれ――新しい文化産業とジェンダー』(共訳、2023年)、ポーリーヌ・アルマンジュ『私は男が大嫌い』(2023年)、レベッカ・ホール『女奴隷たちの反乱――知られざる抵抗の物語』(2022年)、ティファンヌ・リヴィエール『博論日記』(2022年)(いずれも花伝社)などがある。