定価2,200円(本体2,000円)
発売日2023年4月12日
ISBN978-4-7917-7541-5
「生まれてこないほうが良かった」と言われたとき、 あなたは何を語ることができるだろうか
反出生主義はほんとうに自殺を導かないのか? 加害者であることは引き受けられるのか? 日本語で哲学することは可能か? 対話によって開かれる哲学とはどういうものか?――戸谷洋志、小松原織香、山口尚、永井玲衣とともに、生きることの深淵を覗き込む。現代における重要テーマをめぐって重ねてきた言葉たちを結晶化した対談集。
[目次]
はじめに
第1章 生きることの意味を問う哲学 ×戸谷洋志
反出生主義とは何か
「生まれてこないほうが良かったのか」という問いの意味
生まれてくることは誰にとって良い/悪いのか
出生の肯定/否定を超えて――絶滅のまえに
解説 反出生主義はほんとうに自殺を導かないのか?
第2章 “血塗られた”場所からの言葉と思考 ×小松原織香
被害者と加害者――それぞれの生のリアリティ
赦しをめぐる(結論のない)問い
「単独者」としての加害者――石原吉郎を読む
学術と「私」のはざまで
解説 加害者であることを引き受けられるのか?
第3章 日本的なるものを超えた未来の哲学 ×山口尚
大森哲学との出会い
見透し線のその先
ロボットの意識とことだま論
自由意志と重ね描き
日本で/日本語で哲学をすること
解説 日本語で哲学をすることができるのか?
第4章 降り積もる言葉の先に ×永井玲衣
ひそやかな声に耳を傾ける哲学者
世界のどこかにたゆたう言葉
問いと共に生きる
強くあること、弱くあること
解説 対話によって開かれていく哲学とはどのようなものか?
第5章 私にとって哲学とは何をすることか
大学の哲学への失望
私の死・生命学・感じない男
無痛文明論
哲学アカデミア・人生の意味・誕生肯定
あとがき
[著者]森岡正博(もりおか・まさひろ)
1958年高知県生まれ。東京大学助手、国際日本文化研究センター助手、大阪府立大学現代システム科学域教授を経て、現在、早稲田大学人間科学部教授。哲学、倫理学、生命学を中心に、学術書からエッセイまで幅広い執筆活動を行なう。著書に『無痛文明論』(トランスビュー)、『決定版 感じない男』(ちくま文庫)、『生まれてこないほうが良かったのか? 生命の哲学へ!』(筑摩書房)、『人生相談を哲学する』(生きのびるブックス)ほか多数。