牧野富太郎

-花と恋して九〇年-

上山明博 著

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牧野富太郎

定価2,420円(本体2,200円)

発売日2023年3月14日

ISBN978-4-7917-7539-2

すべてを植物にささげた男の実像
高知の裕福な家に生まれながら両親を早くに亡くした少年は小学校を中退し、植物に魅せられていった。本草学から植物学へという時代の変化のなか、すべてをなげうち、植物へのはてしない情熱で、日本における植物学の発展に多大な貢献をすることになる。生活における困難、権威との確執、陰謀論の真相、もうひとりの天才との関係……。さまざまな史料から、偉大な植物学者の足跡をあきらかにする。

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[目次]

プロローグ

第一章 本草学から植物学へ
誕生日が植物学の日に
本草学と植物学
宇田川榕菴の『植学啓原』
リンネの高弟ツンベルクの来日
シーボルトが残した『植物学入門』
雄蘂と雌蘂

第二章 植物相の解明をめざして
植物学者を志す
生涯を貫く指針「赭鞭一撻」
東京大学理学部植物学教室
『植物学雑誌』の創刊
破門草とヤマトグサ
日本人初の日本植物志
矢田部教授との誤訳論争
日本初のムジナモ発見
教室への出入り禁止
ロシア亡命計画

第三章 権威や貧乏との闘い
『日本植物志図篇』と実家の破産
矢田部教授に非職通知
俸給一五円で大学助手に
畢生の大作『大日本植物志』
朋友、平瀬作五郎と池野成一郎
松村教授の嫉妬と『大日本植物志』の廃刊
助手の罷免と講師への昇進
植物同好会と植物研究雑誌

第四章 愛妻の死を越えて
植物標本一〇万点の行方
池長植物研究所
渋谷の待合茶屋
関東大震災と武蔵野の自宅
寿衛の死とスエコザサ
朝日文化賞に輝く

第五章 草を褥に
東大教授陰謀説
植物図鑑ブームの仕掛け人
村越三千男はインチキ
南方熊楠と牧野富太郎の往復書簡
空襲と疎開
事故や病気からの生還
牧野標本館と牧野記念庭園
花と恋して九〇年


あとがき

牧野富太郎年譜
「赭鞭一撻」資料
主な参考文献

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[著者]上山明博(うえやま・あきひろ
1955年10月8日岐阜県生まれ。小説家・ノンフィクション作家。日本文藝家協会正会員、日本科学史学会正会員。1999年特許庁産業財産権教育用副読本策定普及委員会委員、2004年同委員会オブザーバーなどを務める一方、文学と科学の融合をめざし、徹底した文献収集と関係者への取材にもとづく執筆活動を展開。主な著書に、小説として『白いツツジ――「乾電池王」屋井先蔵の生涯』(PHP研究所、2009年)、『「うま味」を発見した男―─小説・池田菊苗』(PHP研究所、2011年)、『関東大震災を予知した二人の男―─大森房吉と今村明恒』(産経新聞出版、2013年)、またノンフィクションとして『プロパテント・ウォーズ―─国際特許戦争の舞台裏』文春新書、2000年)、『発明立国ニッポンの肖像』(文春新書、2004年)、『ニッポン天才伝―─知られざる発明・発見の父たち』(朝日選書、2007年)、『技術者という生き方―─発見!しごと偉人伝』(ぺりかん社、2012年)、『地震学をつくった男・大森房吉――幻の地震予知と関東大震災の真実』(青土社、2018年)、『北里柴三郎』(青土社、2021年)などがある。公式サイトhttp://aueyama.wixsite.com/home