定価2,640円(本体2,400円)
発売日2023年2月25日
ISBN978-4-7917-7536-1
国語からみた「ことば」の現在地
教育改革は暴走する。「教科日本語」の出現、新学習指導要領や共通テストの導入、「論理国語」と「文学国語」という分断、学校現場の疲弊……現場に立つ文学者が描く教育における「ことば」の危機。「ことば」に関心を寄せるすべてのひとへ。
[目次]
はじめに
序章 国語の《曖昧さ》に固執する
第1部 暴走する教育改革──何が起きているのか
第1章 「国語」改革における多様性の排除 教材アンソロジーの意義
第2章 教科書が読めない学者たち
第3章 新指導要領を「先取り」したテストに正当性はあるか
第4章 上野さん、これは間違っています。
第5章 共通テストの「国語」をどう評価するか
第2部 差異と反復──歴史をふりかえる
第6章 文章を読むこと・表すこと 日常のことばと学校のことばの回路
第7章 教材の多様化と文学主義の解体
第8章 国文学ナショナリズムと「危機」の言説
第9章 「ゆとり」がほんとうに必要なのは教員である
第10章 「教科日本語」の問題点 日本語・日本文化をめぐる教育の欺瞞性
第3部 論理と文学は対義語ではない──ことばをめぐる危機
第11章 「読むこと」がなぜ批判されるのか 「国語」から「日本語」の教育へ
第12章 「文学国語」は「論理国語」を包摂する 新「学習指導要領」のリニューアル
第13章 「言文一致」運動と文学の役割 大塚英志『文学国語入門』を入り口に
第14章 論理にとって文学とは何か 「学習指導要領」の破綻
第15章 文学の有効性
おわりに
[著者]紅野謙介(こうの・けんすけ)
1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布中学校・高等学校教諭を経て、現在日本大学文理学部特任教授。専攻は日本近代文学。著書に『書物の近代――メディアの文学史』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学――活字・懸賞・メディア』(新曜社)、『検閲と文学――1920年代の攻防』(河出ブックス)、『物語 岩波書店百年史1 ――「教養」の誕生』(岩波書店)、『国語教育の危機――大学入学共通テストと新学習指導要領』、『国語教育 混迷する改革』(以上、ちくま新書)、『職業としての大学人』(文学通信)などがある。