定価2,860円(本体2,600円)
発売日2023年2月14日
ISBN978-4-7917-7532-3
世界のどこであろうと、奥深くにしまいこまれた知識、いったん意識してしまうとそれまでの世界観が崩壊し、自分自身を問い直さなければならなくなる、そんな知識があるとしたら――世界のどこであろうと、そこは『闇の奥』の舞台になる。(本文より)
19世紀末、ヨーロッパ列強による植民地での苛烈な残虐行為を伝えたコンラッドの小説『闇の奥』。作中の帝国主義者の強烈な台詞に取りつかれたスウェーデンの国民的作家が、その舞台となったアフリカをたどり、大量虐殺につながった人種主義、優生思想を旅日記の形で明らかにしていく。
ラウル・ペック監督「殺戮の星に生まれて / Exterminate All the BRUTES」(U-NEXT独占配信)原作
[目次]
Ⅰ
インサラーへ
文明の前哨地点
〝Exterminating all the niggers〞――黒人(ニガー)を根絶やしにする
クサル・マラブティンへ
Ⅱ
武器の神々
〝with the might as of a deity〞―神のごとき力を備えて
タムへ
友人たち
〝Killing the brutes〞――野蛮人どもを殺す
Ⅲ
アーリットへ
キュヴィエの発見
〝the less intellectual races being exterminated〞――知的に劣る人種が根絶される
アガデスへ
〝dashing out their brains〞――連中の頭を叩き割る
Ⅳ
人種主義(レイシズム)の誕生
〝Race is everything: literature, science, art, in a word, civilization, depend on it.〞人種こそすべてだ――文学、科学、芸術、ひとことでいえば文明が、それにかかっている。
生存圏、死滅圏
〝das Recht der stärkeren Rasse, die niedere zu vernichten〞――劣等人種を絶滅させるのは強い人種の権利
ザンデールへ
注釈
訳者あとがき
[著者]スヴェン・リンドクヴィスト(Sven Lindqvist)
スウェーデンのノンフィクション作家。1932年ストックホルム生まれ。著書にアボリジニとウラン鉱山を描いたTerra Nullius(2005)、空爆の歴史を描いたNu dog du: Bombernas århundrade(おまえはいま死んだ――爆弾の世紀、1999)など多数。2019年没。
[訳者]ヘレンハルメ美穂(へれんはるめ・みほ)
翻訳家。スウェーデン在住。翻訳書にスティーグ・ラーソン『ミレニアム』シリーズ、ニクラス・ナット・オ・ダーグ『1793』シリーズ、ベア・ウースマ『北極探検隊の謎を追って』など多数。