定価3,080円(本体2,800円)
発売日2023年2月3日
ISBN978-4-7917-7534-7
人間と自然をケアする思想
人間や自然に破局をもたらす経済学から、生を支える経済学へ――。産業革命期イギリスを舞台に、思想家たちの格闘がいまここに蘇る。人新世という危機の時代に応答する知の冒険。エコノミーとエコロジーを統合し、経済の根源に向かう思想史の道標。
[目次]
はじめに
序章 エコノミーの脱自然化、人新世の起源
1 エコノミーの概念史
2 自然のエコノミー
3 経済秩序の脱自然化
4 自然からの解放、化石経済の出現
5 エコノミーの脱自然化に抗して
第1章 化石経済と熱力学の黙示録
1 ジェヴォンズと化石経済のディレンマ
2 ラスキンと雲の黙示録
3 エネルギー・エコノミー
4 自然のエコノミーの破綻
5 思想史における二つの痕跡
第2章 生命と富のオイコノミア
1 オイコノミア
2 生と富の科学
3 賢明な消費のわざ
4 統治としてのエコノミー
第3章 植物学者が見た生命都市(ビオポリス)のエコノミー
1 科学からラスキンを語りなおす
2 イギリス経済学方法論争
3 エコノミーの自然化
4 スラム化する世界――生の衰弱、環境の劣化
5 生命の法としての協同
6 産業改革
7 人間生態学としての都市学
第4章 富のエコノミー/負債の反エコノミー
1 原子力時代の曙光
2 貨幣改革の時代
3 富のエコノミー
4 負債の反エコノミー
5 穏やかな経済
終章 人間以上のエコノミーに向けて
あとがき
参考文献
索引
[著者]桑田学(くわた・まなぶ)
1982年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科特任研究員などを経て、現在福山市立大学都市経営学部准教授。著書に『経済的思考の転回――世紀転換期の統治と科学をめぐる知の系譜』(以文社、2014年。経済学史学会研究奨励賞)、共著に、橋本努編『現代の経済思想』(勁草書房、2014年)、吉永明弘+福永真弓編『未来の環境倫理学』(勁草書房、2018年)、S. Egashira, M. Taishido, D. Wade Hands and U. M ä ki (eds.) A Genealogy of Self-Interest in Economics (Springer、2021年)他がある。