定価1,760円(本体1,600円)
発売日2022年12月27日
ISBN978-4-7917-1441-4
とどまることなく思考し続けるために
人類学、数学、美学、政治学、生物学、歴史学……さまざまな領域で〈思想〉は自らが身を置く〈現代〉の課題に対応し、たえず練磨されてきた。だとすれば、ますます混迷を極めるこの社会において、知はこれまでとは違う新たな言葉をさらに紡ぎ出す必要も生じているだろう。本誌刊行50周年を迎える今、これからの50年を多様な角度から照らし出す記念号。
[目次]
特集*知のフロンティア――今を読み解く23の知性
【文明と倫理】
強い制度志向と倫理のアウトソーシング / 玉手慎太郎
賢い模倣、人間の文化、集合知 / 豊川航
社会派科学哲学の道をゆっくり歩く / 清水右郷
方法を理論として読む――社会学的想像力のフロンティア / 松村一志
「安心して炎上できる場所」が人工知能の開発・利用・運用に必要な理由 / 江間有沙
他者の心の理解――マスクによる影響と人間らしさの知覚 / 齊藤俊樹
【記憶と価値】
政治思想はいつ過去になるのか / 上村剛
キャンセル・カルチャーの標的となる歴史概念 / 小俣ラポー日登美
世界宗教と日本文化――近代仏教という辺境 / 碧海寿広
新学習指導要領下での『源氏物語』――紫の上垣間見場面と妻の座をめぐって / 青島麻子
美術史を語ること、語り直すこと / 松井裕美
大地の重みに耐えること――中東欧現代史を歩いて考える土地と思想 / 中井杏奈
【惑星と政治】
身体の拡張を、麻酔の浸透にさせないために――惑星意識的逸脱、フリクション、映像人類学 / 太田光海
知識人とはなにか――先住民フェミニズムと〈ケアし合う社会〉へむけて / 石原真衣
国際刑事司法(論)の概況と展望 / 越智萌
国境開放論争とは何だったのか――移民正義論の現在と展望 / 宮井健志
すれ違う世界観、間を流れる福祉――東アフリカの都市の事例 / 仲尾友貴恵
危機の時代の物語のかたち / ハーン小路恭子
【言語と物質】
オラリティの感性論 / 星野太
言語哲学におけるいくつかのトレンド / 和泉悠
「イメージ知」――見ること・写すこと・触れること / 河南瑠莉
天文民俗学の可能性――心意現象としての星から / 中野真備
万物の理論としての圏論――ライプニッツとニュートンから圏論的量子計算と圏論的機械学習へ / 丸山善宏
【連載●科学者の散歩道●第八八回】
量子情報の時代へ――EPR実験と存在の「非局所性」 / 佐藤文隆
【連載●「戦後知」の超克●第二四回】
柄谷行人における「世界史」の問い方 7――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
【研究手帖】
マルクーゼの「エコサイド」論 / 馬渡玲欧