定価2,860円(本体2,600円)
発売日2022年12月20日
ISBN978-4-7917-7524-8
全てが生まれ変わる場所へ
思弁的実在論と人新世の喧騒の後で、非人間的なものの実存主義を説く。シェリング以後の哲学者たちが彼の思想をどのように解釈したかを辿ることによって、現代思想と哲学史が一つに融合する地点を示す。新たな現代思想の幕開けを告げる記念碑的著作。
[目次]
序章 シェリングと現代実在論――メイヤスーの相関主義批判
一 現代実在論とシェリング
二 メイヤスーの哲学史像
三 メイヤスーの哲学史像の再構築
四 ループとそのほつれ
第一部 二〇世紀前半
第一章 実存と形而上学――ヤスパース
一 生きている図式
二 ヤスパース
三 『シェリング──偉大さと宿命』
四 ヤスパースとハイデガー
五 第二の系譜
第二章 現有(ダーザイン)と形而上学史――ハイデガー
一 ヤスパースからの贈り物
二 『有と時』──ヤスパースの影
三 ハイデガーのシェリング講義
四 ハイデガーにおけるシェリング問題
第三章 絶対弁証法――田邊元
一 田邊元
二 意志のディヤレクティクから絶対弁証法へ
三 田邊のシェリング解釈
四 フランス哲学から見たシェリング
第四章 意識のオデュッセイア――ジャンケレヴィッチ
一 シェリング=ベルクソン問題
二 フランスの哲学者
三 ジャンケレヴィッチ
四 西谷啓治
第五章 粉々になった同一哲学――西田幾多郎
一 西田の文体
二 西谷の入学前後
三 非連続性
四 連続性
第六章 シェリング風の観念論――パース
一 シェリングの〈不在〉
二 アメリカ哲学史
三 ジェイムズ
四 パース
五 焦点の移動──二〇世紀後半へ
第二部 二〇世紀後半から二一世紀初頭にかけて
第七章 terra incognita
一 terra incognita
二 一九五四年
三 一九七六年
四 一九八三年
五 terra cognita?
第八章 述語づけと世界の発生――ホグレーベ
一 ガブリエルの師
二 シェリング入門
三 『述語づけと発生』(一九八九年)
四 世界の起源への問い
第九章 消える媒介者――ジジェク
一 『仮想化しきれない残余』
二 〈消える媒介者〉の理論
三 ドイツ観念論の根本操作
四 ジジェクへの疑問
第一〇章 世界と場(コーラ)――ガブリエル
一 〈消える媒介者〉再説
二 ガブリエルのデリダ論
三 形而上学のプロジェクト
四 デリダの脱構築的読解
五 プラトン主義の顚倒、あるいはプラトン主義とは何か
六 ガブリエルの問いと答え
第一一章 絶対無の二つのモード――ガブリエル・続
一 百年の出来事
二 デリダとガブリエル
三 中村雄二郎『述語的世界と制度』
四 中沢新一『フィロソフィア・ヤポニカ』
第一二章 永遠回帰への脱根拠化――ドゥルーズ
一 哲学的直観
二 無底・力(累乗)・純粋過去
三 時間の空虚な形式
四 理念(イデア)
五 ニーチェ以後のシェリング
第一三章 器官なき身体――ドゥルーズ・続
一 『差異と反復』から『アンチ・オイディプス』ヘ
二 シェリングとヘーゲル
三 消極哲学とは何か
四 『アンチ・オイディプス』の存在論
五 比較の動機
第一四章 超越論的なものを自然化する――グラント
一 シェリングの使用とその弱点
二 『シェリング以後の自然哲学』
三 ドゥルーズとシェリング
四 超越論的なものの反転
五 カントをどのように理解するのか
第一五章 種を超えて思考する――グラント・続
一 道徳の地質学から哲学地理へ
二 地球中心主義と超越論的地質学
三 二つの超越論的地質学
四 差異の理由
五 時間の崇高
第三部 ニヒリズムの時代
第一六章 ニヒリズムの再考と日常的像の破壊――ブラシエ(一)
一 グラントからブラシエへ
二 ニヒリズム再考
三 信念のアポトーシス
四 啓蒙のタナトーシス
五 批判の要点
第一七章 メイヤスーと知的直観――ブラシエ(二)
一 第一部と第二部の関係
二 実在論のエニグマ──絶対的偶然性のパラドックス
三 思考と存在の隔時性──絶対時間
第一八章 バディウとニヒリズムの問題――ブラシエ(三)
一 第一部で語られたことと語られていないこと
二 バディウとニヒリズムの問題
三 バディウの先へ
第一九章 一方向化と非弁証法的否定性──ブラシエ(四)
一 見晴らし台へ
二 存在論と超越論的哲学──バディウからラリュエルへ
三 減算的存在論と超越論的実在論──バディウとラリュエル
四 ラリュエルの論理
五 再び隔時性の問題へ
第二〇章 二つの死──ブラシエ(五)
一 ハイデガーとドゥルーズの結節点
二 ハイデガーの基礎的存在論におけるジレンマ
三 『差異と反復』における生気論と経験論
四 死と時間──ハイデガーとドゥルーズ
第二一章 絶滅のオルガノンとしての哲学──ブラシエ(六)
一 最終章の六つの節
二 第七章の概要
三 絶滅の場所
終章 思弁的実在論の後で──ユク・ホイ
一 第二世代
二『再帰性と偶然性』の概要
三 思弁的実在論に面して
四 『再帰性と偶然性』の論理
五 無底と非人間的なもの
六 哲学の条件
あとがき
文献
[著者]浅沼光樹(あさぬま・こうき)
1964年、岩手県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士後期課程哲学専攻(西洋哲学史)研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。専門は哲学・哲学史。著書に『非有の思惟――シェリング哲学の本質と生成』(知泉書館、2014年)がある。