猿声人語

-進化の途上でこの社会を考える-

山極寿一 著

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猿声人語

定価2,200円(本体2,000円)

発売日2022年12月23日

ISBN978-4-7917-7526-2

700万年の進化史から見つめた、この世界のいま。
山積する課題、ゴリラ学者ならどう答える?
「さまざまなニュースに接したり、自分の身のまわりで予想外の事件が起こったりしたとき、あわてふためいて場当たり的な対処法を頭に浮かべるのではなく、一歩下がって人間の過去を振り返り、それが長い人類の進化の歴史から眺めるとどう見えるかを考えてみた」(「まえがき」より)

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[目次]

まえがき

第1部 政治は誰のために

コロナウイルスと『猿の惑星』
日本学術会議と民主主義
一九六四の記憶と二〇二〇への教訓
スポーツの起源
サルの社会とそっくりの政権
広島出身の首相に期待すること
緒方貞子さんが訴えたこと
パラレルワールドに生きる私たち

第2部 なぜ人間はふれあうのか

サル化する社会
「ともにいる時間」の価値
二十一世紀のコミュニティ
音楽と人類の進化
言葉では伝わらないこと
市場の賑わいを取り戻す
「顔見知り」ができない時代
花見の宴が縁を結ぶ
五感が育む社交

第3部 暮らしはどう変わるのか

屋根のあった風景
二重生活のすすめ
原点回帰する住まいの形
小さき命を遊ばせる
地域の時代がやってきた
シェアとコモンズの拡大
現代の終の栖
農業の原点に立ち返る
キーンさんが遺した言葉
健康は個人だけの責任なのか

第4部 自然と共存するために

葉っぱのトイレ
細菌と人間の共生
六度目の大絶滅時代の前に
アマゾンを歩く
力を失う現代の科学
野生動物との共存
人間だけが「考える」のか
山尾三省さんの志を継ぐ
環境問題の根幹は人間の文化にある
人新世のコモン
伊谷先生と三省さんのこと

第5部 技術とどう向き合うか

経済から社会を取り戻す
安心な人の輪はAIでは作れない
科学技術に代わる世界観
ジャポニスムと先端技術の融合
複線型人生のすすめ
アバターの賢い使い方
パラレルワールドへの期待

第6部 学問は何のために

京大原爆調査班の遺訓
今も息づく京都学派の精神
キーンさんとの語らい
ともに生きるための人文科学
学問の自由とは何か
自然史学のこれから
眞鍋さんからの「苦言」

第7部 大学とはどんな場所なのか

大学の門と窓
世界学長会議に出席して
ボスではなくリーダーを育てる
自由な青春時代を守る
日本の学術外交
国立大学法人化は失敗だった
ノーベル賞の授賞式
三十年後の大学像
卒業式の式辞
落ちこぼれが活躍する時代

あとがき

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[著者]山極寿一(やまぎわ・じゅいち)
1952年東京都生まれ。霊長類学・人類学者。京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。理学博士。京都大学総長、日本学術会議会長を歴任し、現在は総合地球環境学研究所所長を務める。ゴリラ研究の世界的権威であるとともに、日本の学術界を牽引する存在でもある。2021年、第31回南方熊楠賞を受賞。近著に『ゴリラからの警告』(毎日文庫)、『京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと』(朝日新書)、『人生で大事なことはみんなゴリラから教わった』(家の光協会)など。