定価1,980円(本体1,800円)
発売日2022年11月28日
ISBN978-4-7917-0424-8
目を澄ませて、映画を発見する
「日本映画第三の黄金期」を牽引する存在として濱口竜介・小森はるか等と並び評され、活躍を続ける三宅唱。絶えず新しい楽しさ=差異を求める真っ直ぐな眼差しをもって探求を続ける三宅の作品は、常に鮮やかな発見に満ち溢れている。12月16日公開となる待望の最新作『ケイコ 目を澄ませて』を前に、いま三宅唱を再発見せねばならない。
【目次】
特集*三宅唱——『やくたたず』から『Playback』『THE COCKPIT』『きみの鳥はうたえる』、そして『ケイコ 目を澄ませて』へ
❖対談〈1〉
悦ばしき映画 / 三宅唱×蓮實重彥
❖詩
彼女は金の星 / 山岡ミヤ
❖インタビュー〈1〉
気付いたらケイコだった / 岸井ゆきの(聞き手=編集部)
❖その人と、日々を見る
ひとつひとつの日々を追う / 小森はるか
今ここにあることのかけがえのなさの物語 / 川口敦子
目覚めよ死者たち / 樋口泰人
❖インタビュー〈2〉
見ることと想像 / 小笠原恵子(聞き手=伊藤亜紗)
❖揺れる光
『ケイコ 目を澄ませて』とろう者の世界の接点 / 牧原依里 (訳=佐藤譲二)
ケイコ・プラネタリウム / 木下知威
❖賦活される媒質
建築映画2.0 / 鈴木了二
深さと距(へだ)たり / 平倉圭
三宅唱、あるいは映画における手話の聴覚性について / 長門洋平
振動と咆哮──『ケイコ 目を澄ませて』の音と声 / 細馬宏通
❖カラー口絵
in between / 高野ユリカ
❖座談会
流れをつなぐ──『ケイコ 目を澄ませて』のスタッフワーク / 三宅唱×大川景子×月永雄太
❖準備された映画──生存の技法
三宅映画との出会いに関する幾つかのこと / 四宮秀俊
The Art of Preparation / 濱口竜介
❖対談〈2〉
Two Rode Together / 三宅唱×松井宏
❖アンケート
わたしと三宅唱 〈1〉俳優 / 石橋静河・柄本佑・渋川清彦・村上淳・足立智充・渡辺真起子・森岡龍・安光隆太郎
わたしと三宅唱 〈2〉劇場・映画祭関係者 / 小川直人・尾関成貴・志尾睦子・菅原睦子・角田真由美
❖三宅唱を探して
映画身体の進化──三宅唱における接触をめぐって / 木下千花
見る(聞く)、書く、撮る──三宅唱の批評と創作 / 三浦哲哉
❖日記のような記憶
「ほっといてくれ」あるいは「では始めましょう」と何度でもつぶやき続けるために / 平島悠三
セブン・イヤーズ・アフター / 井戸沼紀美
❖Think Good!
ホーム/ムービーの可能性──三宅唱『やくたたず 』をめぐって / 川崎佳哉
ディレクターズ・ディライト──『Playback』とヒップホップ / 冨塚亮平
「Think Good」に立ち会うために──『THE COCKPIT』論 / 成田雄太
❖再録
何も見ない顔──『THE COCKPIT』『きみの鳥はうたえる』における眼差しからの解放 / 三宅唱×廣瀬純
❖それぞれのコックピットから
三宅唱のフィーリング / OMSB+Hi'Spec
三宅唱の映画と音 / 荘子it
❖シンプルな倫理──穏やかで厳密な親密性
俳優と時間、そのシンプルな可能性──三宅唱『密使と番人』について / 堅田諒
夜の果てに見えるもの──『きみの鳥はうたえる』 / 上條葉月
エッセイ映画としての『無言日記』──個人的なマッピングから「世界の記憶」へ / 東志保
❖スクリーンの外側への旅
旅する映画──拡張する三宅唱作品 / 田坂博子
スクリーンの外側で / 岩田拓朗
三宅唱を密輸する──『ワイルドツアー』をめぐって / 杉原永純
❖石の肌目、幽霊の肌目
夢中の軌跡をなぞる──『ワイルドツアー』におけるまなざしの詩学 / 青山太郎
白い服と輝く太もも──『呪怨 呪いの家』における幽霊のテクスチュアについての覚書 / 川崎公平
❖資料
三宅唱主要作品解題 / 原田麻衣
三宅唱作品リスト
❖忘れられぬ人々*14
故旧哀傷・清岡卓行 / 中村稔
❖物語を食べる*23
豚を飼う、豚を喰らう / 赤坂憲雄
❖詩
プライベート・レクイエム / 岩倉文也
❖今月の作品
小川芙由・五十嵐雨・たかすかまさゆき / 選=大崎清夏
❖われ発見せり
言葉がほぐれる / 乾真裕子
表紙・目次・扉……北岡誠吾
表紙・特集扉図版……©2022「ケイコ目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS