定価3,080円(本体2,800円)
発売日2022年11月24日
ISBN978-4-7917-7516-3
「人間の意識はすべて計算可能である」――そんなわけない。
遭遇したことのない、予想できない、未知なるものにつねに開かれた、際限なき世界に生きるということはどういうことか。ダンス、メタバース、クイズ番組、ホラー映画……身近なクリエイティビティの生まれる場所に宿る知にアプローチする、「天然知能」の新展開。
[目次]
はじめに
第1部
第1章 ダサカッコワルイ・ダンスという創造=脱創造
1 遭遇
2 異界からやってくる
3 スパイラル・ホールとカニッツァ図形
4 身体化・脱身体化の共立
第2章 クイズ番組のドラァグ・クイーン的解体
1 クイズ番組vsル・ポールのドラァグ・レース
2 「知らない」という形で知り尽くすこと
3 クイズは「外部=リアリティ」を問題にできるか
第3章 共創と共生 天然知能で読み解く『共生学宣言』
1 なぜ『共生学宣言』か
2 天然知能に内在するA/Bトラウマ
3 『共生学宣言』におけるA/Bトラウマ
4 共創と共生の補完性
第2部
第4章 「わたし」に向かって一般化される量子コンピューティング
1 データ・サイエンスという思想を超えて
2 認知的誤謬と量子力学
3 認知的非局所性とブール代数の準直和構造
4 認知的非局所性からもたらされる認知的誤謬
第5章 全体という不在
1 外部を召喚するもの
2 不在としての全体
3 目的論的現象とホムンクルス
4 テレオダイナミクス
5 内で仕掛け外を待つ
第6章 圏論の展開から、あるいは脱圏論への転回
1 理論家は外部を許せるか
2 圏論――異質な二者を比較可能な対に持ち込むアプローチ
3 脱構築される圏
4 記述の果て
第3部
第7章 『リング』という希望
1 はじめに
2 全体という入れ物
3 不幸の手紙と笑い
4 智子における解読
5 外部へ
第8章 メタバース=宙吊りにされた意識モデル
1 はじめに
2 ゲーム世界に住んでいたという記憶
3 注意スキーマが見逃している無際限さ
4 意識モデルとしてのメタバース
5 身体にとどまるな
第9章 「砂山/砂粒集合体」トラウマを生きる真生粘菌
1 はじめに
2 真生粘菌と砂山のパラドックス
3 トラウマ構造としての「部分的」砂山
第10章 量子論の心理学的起源
1 はじめに
2 認知科学における量子力学の寄与
3 量子論理のための準備
4 量子力学と量子論理
5 トラウマ構造から二項関係へ
6 認知言語学的概念の表現
7 天然知能から得られる量子論理
8 そして量子論理の外部
おわりに
[著者]郡司ペギオ幸夫(ぐんじ・ぺぎお・ゆきお)
1959年生まれ。東北大学理学部卒業。同大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。現在、早稲田大学基幹理工学部・表現工学専攻教授。著書に、『生きていることの科学』(講談社現代新書)、『いきものとなまものの哲学』『生命、微動だにせず』(以上、青土社)、『群れは意識をもつ』(PHP サイエンス・ワールド新書)、『天然知能』(講談社選書メチエ)、『やってくる』(医学書院)など多数。