現代思想2022年11月号 特集=ヤングケアラー

-家族主義的福祉・貧困の連鎖・子どもの権利……-

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現代思想2022年11月号 特集=ヤングケアラー

定価1,650円(本体1,500円)

発売日2022年10月27日

ISBN978-4-7917-1438-4

子どもであり、ケアラーであるとはどういうことか
子どもや若者でありながら家庭内でケアを担う”ヤングケアラー”の存在が近年ひろく知られつつある。本特集では、複雑に個別化した家庭という親密圏のなかで見過ごされてきたその営みに目を向けることで、家族主義的福祉、貧困の連鎖、子どもの権利保障といったさまざまな問題に迫りたい。

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[目次]

 

特集*ヤングケアラー――家族主義的福祉・貧困の連鎖・子どもの権利……


 

【討議】
言いようもない〝逃れがたさ〞のなかで――「ヤングケアラー」という言葉に出会うということ / 澁谷智子+村上靖彦

【議論の現在地】
元当事者から見たヤングケアラーの支援の近況 / 朝田健太
家族が家族だけでケアを抱えなくていい社会へ / 持田恭子
あらためて、ヤングケアラー「ブーム」を問う――問題の射程と次元の再考のために / 斎藤真緒
家族のケアを担う/担った子ども・若者が経験する「キャリアにおける困難」――その背景と課題を考える / 松﨑実穂

【ケア、そのさまざまな実像】
きょうだい児の担う静かなるケア――予防的支援を考える / 滝島真優
ヤングケアラーの中のコーダ――きこえない親をもつきこえる子どもの通訳の役割 / 中津真美
移動する子どもと「ケア」役割――「移動する家族」と「移動の中の子ども時代(Mobile Childhood)」の文脈から / 小ヶ谷千穂

【親と子のあいだには】
ヤングケアラーとアダルト・チルドレン / 信田さよ子
精神疾患を抱えた親のもとで育つ子ども・若者 / 蔭山正子
学校での精神保健教育はヤングケアラーの理解と支援に役立つか? /佐々木司
レッツトーク・アバウト・チルドレン――精神疾患をもつ親とその子どもへのフィンランド発の支援プログラム / 上野里絵

【制度と生きる/に抗する】
「私たちのケアは、あなた一人が背負うには重すぎる」――ケアを必要とする親と子どもが、それぞれ生きていくことについて / 土屋葉
貧しくもなく労働もしないヤングケアラー――ケアの再配分かケアラーの承認か? / 桜井啓太
取り出される「ケア」――ヤングケアラーの構築 / 桜井智恵子
ヤングケアラーと出生前検査の調査が可視化する「閉じた家族」 / 柘植あづみ

【原風景から問い直す】
子ども観の歴史から見るヤングケアラーの社会問題化と支援の現在 / 元森絵里子
変わる家族介護の姿――「自分がいけない」を乗り越えて / 木下衆
「忘れもの」とはなにか――『となりのトトロ』と『火垂るの墓』、「子どもをおぶう子ども」のいた光景 / 鷲谷花

【人口動態とケアのゆくえ】
中国都市部における高齢者のケア現状とケアラーの意識 / 李東輝

 

【連載●科学者の散歩道●第八六回】
新「量子」の意味を問う――「けいはんなゲーテの会」、大澤真幸 / 佐藤文隆

【連載●「戦後知」の超克●第二二回】
柄谷行人における「世界史」の問い方 5――その「起源」と「構造」 / 成田龍一

【連載●社会は生きている●第五回】
主体の生態社会学 3――社会システムとコミュニケーション / 山下祐介

【連載●タイミングの社会学●第二一回】
疲弊 下――待機する日常 / 石岡丈昇


【研究手帖】
チェコにみる生殖市場をうむ制度 / 村瀬泰菜