定価1,650円(本体1,500円)
発売日2022年8月29日
ISBN978-4-7917-1435-3
バーチャルはフィジカルを超えるのか
2021年にGAFAの一角・フェイスブックが社名を「メタ」に変更して以来にわかに注目を集める「メタバース」。それは私たちの社会、意識、あるいは身体のありようをいかに変容させうるのだろうか。本特集ではVR技術における最新の展開を追うのみならず、広く仮想現実/仮想空間をめぐる想像力と思考の系譜を紐解きなおすとともに、今後あらたに提起されていくであろう哲学的・倫理的問題にも踏み込むことを通じて、多様な角度からメタバースの思想圏を描き出したい
[目次]
特集*メタバース――人工知能・仮想通貨・VTuber…進化する仮想空間の未来
【討議】
未来の身体論対話 / ドミニク・チェン+安田登
【新世界への招待】
メタバースによる人の意識の変容 / 三宅陽一郎
源流から考える「メタバース」 / 喜多千草
【この身体、この宇宙】
物質となるメタバースと、その不自由――メタバース内外を行き来する身体と空間から考えるジェンダーと政治 / 近藤銀河
要約「バ美肉 バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの──テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範への対抗」 / L・ブレディキナ(訳=池山草馬)
メタファーとしての美少女――アニメーション的な誤配によるジェンダー・トラブル / 松浦優
メタバースは「いき」か?――やましさの美学 / 難波優輝
メタバースでアバターはいかにして充実した生を送りうるか / 長門裕介
【〈理想郷〉のポリティカル・エコノミー】
メタヴァースとヴァーチャル社会 / 大黒岳彦
希少性と排除にもとづくデジタル所有権vs.メタバース / 斉藤賢爾
宇宙の修理とメンテナンス――メタバースは私たちの生きる宇宙になり得るのか / 吉田健彦
【在りし日の未来】
パリに行きたい――あるいは“ここ”からは出られません / 仁木稔
一九八四年のメタバース / 木澤佐登志
「電脳空間」のノスタルジアーー仮想現実はどのように語られたか / 加藤夢三
文化技術とコンピュータ / 梅田拓也
【来るべき思想圏】
「以前、確かにそのゲームの世界に自分が住んでいた」という記憶はどこから来るのか――メタバース=宙吊りにされた意識モデル / 郡司ペギオ幸夫
メタバース・メディア論――情報の宇宙のエコロジーとその数理・倫理 / 丸山善宏
現前世界としてのメタバース / 出口康夫
【連載●「戦後知」の超克●第二〇回】
柄谷行人における「世界史」の問い方 3――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
【連載●社会は生きている●第三回】
主体の生態社会学 1――変革する主体、拘束する社会 / 山下祐介
【連載●タイミングの社会学●第二〇回】
疲弊 上――長時間通勤 / 石岡丈昇
【研究手帖】
絵画が真実らしさを失うとき / 折居耕拓