ユリイカ2022年5月号 特集=菌類の世界

-きのこ・カビ・酵母-

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ユリイカ2022年5月号 特集=菌類の世界

定価1,870円(本体1,700円)

発売日2022年4月28日

ISBN978-4-7917-0416-3

菌糸の眷属たち
きのこが文化的、文学的であることは実にさまざまなエクリチュールが描きだすところであるが、菌類はどうだろうか。きのこを包含したその領野はさらに広大無辺にこの世界を取り巻き、構成している。菌類が織りなす網目に分け入り、南方熊楠、ジョン・ケージ、ビアトリクス・ポターの営為をたどりなおす。繁茂しつづける菌類を覗きみる。

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【目次】

特集*菌類の世界――きのこ・カビ・酵母

❖小説〈1〉
きの旅 / 高原英理

❖きのこ目を啓く
人生、菌色。 / 新井文彦
きのこ画家が生えるまで / 大竹茂夫

❖きのこと仲間たち
きのこ博士と菌類の未来 / 保坂健太郎
菌類を“追う” / 星野保
菌類に学ぶ〔コラム:本当の菌って何?〕 / 細矢剛
「菌」と呼ばれるものたち――カビ、細菌、そしてウイルス / 武村政春

❖マンガ
Spores of relief / 月森吉音

❖菌類としての大地
菌類と土の来た道 / 藤井一至
ブナ原生林が語る菌類の魅力 / 大園享司
植物と菌類との助け合いと騙しあい――実はしたたかな共生関係の実態 / 末次健司
地衣類に覆われて / 大村嘉人

❖終わりなき生命
超能力微生物 / 小泉武夫
発酵という無限の未来 / 小倉ヒラク

❖食の菌類学
菌類と「食べる」ということ / 石川伸一
ルネサンスのきのこ学――菌類学への道しるべ / 鶴田想人

❖きのこはうたう
遠方のマシュルーム、近くの茸――あるいは、わざわざ叢(くさむら)のなかに / 與謝野文子
きのこ短歌コレクション(ちょっとカビつき) / 石川美南

❖きのこのエクリチュール
きのこ文学最前線――回顧と展望 / 飯沢耕太郎
妖精の環――菌類学者ビアトリクス・ポター / 寺村摩耶子
妖精とキノコ、魔女とキノコ、メディウムとしてのキノコ / 河西瑛里子
雨の樹とキノコの庭――武満徹、その音の糸 / 髙山花子

❖詩
すべての生きものはキノコだ! 私は恐竜図鑑を読んでいた / 小笠原鳥類

❖形態学/生態学
菌類をめぐるヘッケル的夢想 / 倉谷滋
菌類模型の周辺――ムラージュ文化考 / 石原あえか
無節操にも、きのこのように / 雑賀恵子
トラブルと共に生きる術――第六の絶滅期における菌類とkin-making / 逆卷しとね

❖分け入っても分け入っても……
きのこから始める菌類カルチャー・マップ / 堀博美

❖小説〈2〉
視肉の孝 / 柴田勝家

❖座談会
変形菌のアルス・コンビナトリア――アートとサイエンスの紐帯 / 松本 淳×唐澤太輔×齋藤帆奈

❖這い進む学び
粘菌からロマネスクへ / 金沢百枝
魅力的な「傍系」たち / 柞刈湯葉

❖粘菌という思考とはなにか
粘菌のジオラマ行動力学――迷路の中の採餌行動を例に / 中垣俊之
「砂山/砂粒」トラウマを生きる真正粘菌 / 郡司ペギオ幸夫
変形菌の「自己」から未来の「自己」へ / 増井真那
粘菌の環世界――ユクスキュルが捉えた、粘菌の二つの存在様式 / 釜屋憲彦
粘菌哲学の視座――触覚と原形質流動 / 唐澤太輔
「粘菌学者・昭和天皇」の科学社会史 / 右田裕規

❖菌糸はどこまでも
菌類を知るためのブックガイド / 佐野悦三

 

■忘れられぬ人々*7
故旧哀傷・加藤建二 / 中村稔

■物語を食べる*16
フォアグラ的な肥満のはてに / 赤坂憲雄

■詩
「黒雲」考 / 藤井貞和

■今月の作品
小川芙由・米山然・江田つばき・秋葉政之 / 選=大崎清夏

■われ発見せり
Siri、構造主義を具現化した「精神」? / 長谷川朋太郎


表紙・目次・扉=北岡誠吾