定価2,640円(本体2,400円)
発売日2022年3月25日
ISBN978-4-7917-7450-0
——「世界」が生まれてくるのが、ここに、あるみたい。
わたしのめいのサイェは、今日もあらゆるものに耳を澄ませて、ちょっとずつ大人になっていく。おもいだすこと、はじめてしること。誰もが一度は感じたことのある心のふるえや温もりを、春夏秋冬の「音」に寄せて描き出す、静かな物語の集積。
[目次]
めいのレッスン
季節めぐって
春
ののはな
ゆりねの
ポワソン・ダヴリル
にゃあご
つつじ・やまぶき
ふじのせい
はるおちば
ルンバ・ストーカー
花と石
まわりにたくさん
つくもがみ
あかりみつめて
夏
新参者
手紙
クローゼットの隅から
船がみえる、かな
木のスプーンから
なくなった駅、焼野原のごはん
気にかかるゴーシュ
風鈴の
えとーてむ
上海の
旅人の木
かね、のエコー
秋
かみがみの
秋の庭
知らないところ
台風観察
古本を救う犬
朝の動画
鳥たちのめざめ
かぜひいて
ねこ・とこ
ちくちく大会
冷蔵庫のなかで
マッチ箱
冬
ちいさなお店で
本のかみがみ
ふいてつぶして
古い謡曲本
『夜の木』
クリスマス・ツリー
年の暮れ
庭で光るもの
はなのな
ゆきかきに
南の旅の
さくらめぐって
いる いない
ふり かえり(あとがきのような……)
[著者]小沼純一(こぬま・じゅんいち)
1959年東京都生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は音楽文化論、音楽・文芸批評。第8回出光音楽賞(学術・研究部門)受賞。創作と批評を横断した活動を展開。近年の主な著書に『武満徹逍遥』(青土社)、『音楽に自然を聴く』(平凡社新書)、『本を弾く』(東京大学出版会)、『映画に耳を』(DU BOOKS)ほか。創作に『しっぽがない』(青土社)、『sotto』(七月堂)などがある。