定価1,760円(本体1,600円)
発売日2022年1月27日
ISBN978-4-7917-0412-5
映画『名付けようのない踊り』(1/28)公開!!
田中泯の身体はひとつで全部だ。流れる血に切れ目はない。踊りのあいだで肉体はほどけ、皮膚が外に触れて溶け合う。外とは眼に見えるものだけでなく、風であり音(楽)であり、もしくは他者のことでもある。そこで行われているのはまさしく〈名付けようのない踊り〉――人間以前のヒトの記憶、ヒト以前の記憶の交換。2022年1月28日、犬童一心監督による映画『名付けようのない踊り』が公開される。スクリーンにはその踊りと生き様が存分に映されている。本作を機に、田中泯という場に飛び込もう。
【目次】
特集*田中泯
❖インタビュー
踊りをひらく / 田中泯(聞き手・構成=編集部)
❖オマージュ詩
それは いまわのきわ――田中泯へのオマージュ / 佐々木幹郎
仮眠 三篇(ka-min, Triptych) / カニエ・ナハ
(無題) / 小内光 おさないひかり
❖ひとつのダンス
「脱」の舞踊――田中泯序説 / 宇野邦一
踊る/踊らない身体の言語 / 市田良彦
❖非在の私のドキュメント
田中泯の写る画面の重量 / 犬童一心
田中泯さんのこと、あるいは身体の不自由さについて / 小川真司
存在の手合わせ / 大友啓史
城崎で、映画撮影をする私の脳裏に過った田中泯さんのいくつかの言葉 / 太田信吾
❖踊りの村
環境と対話する身体――田中泯さんの“場踊り”での三つの身振りから考えたこと / 砂連尾理
自力のカリスマをぶっこわせ / 岩渕貞太
たかが一個のカラダ / 宮川麻理子
❖口絵
地を這う前衛(構成=北岡誠吾)
❖音と踊り――エッセイ・談話
初まりのダンス / 坂本龍一
俺は見た / スガダイロー
礼儀 / 灰野敬二
私に発芽する田中泯――種まきじいさんからの言葉、その備忘録 / 村上史郎
『名付けようのない踊り』の人のシジフォスの真情 / 大木雄高
❖音と踊り――論考
「場踊り」前夜――踊りにとって音楽とはなにか / 北里義之
田中泯と即興の踊り場 / 松村正人
❖討議
私を使わない自由を踊る――田中泯と世界、その可傷性と偶有性 / 松岡正剛×石井達朗
❖交換、そして交感
田中泯という身体と踊り / 名和晃平
unnameble, untameble / ファーガス・マカフリー&アリソン・スペラシー
田中泯――場を記憶し、喚起するからだ / 水沢勉
❖闇のイルカ
オマージュ1984 / フェリックス・ガタリ
「身体のアレンジメント」を読む――田中泯と「分子革命」 / 村澤真保呂
百姓と地球 / 森元斎
❖座談会
カラダの声を聴く / 矢内原美邦×山川冬樹×岡田裕子
❖劇場⇔農場
泯さんの「オドリ探し」と我が経巡り / 立石和浩
泯さんと私とTHEATRE E9 KYOTO / 蔭山陽太
真と美 / 三澤茂計
空と大地に耕されたカラダ / 白井剛
❖失意と勇気
裸体、恋愛、そして――土方巽との出会いを巡って / 國吉和子
継承・叛乱:肉体と身体のあいだ――土方巽と田中泯を隔てる一七年間 / 鈴木俊晴
❖資料
田中泯の軌跡 / 石原淋
■忘れられぬ人々*4
故旧哀傷・遠藤麟一朗(四) / 中村稔
■物語を食べる*13
家畜と奴隷と資本主義 / 赤坂憲雄
■詩
スロープ / 赤司琴梨
■今月の作品
田口裕理阿・七瀬柚子・高橋実里 / 選=大崎清夏
■われ発見せり
ヒトと似て非なるウマのはなし / 佐藤朋子
表紙・目次・扉 = 北岡誠吾
表紙画像 = 石原淋 Rin Ishihara