清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?

-新しい博物学への招待-

池内了 著

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清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?

定価1,980円(本体1,800円)

発売日2021年12月20日

ISBN978-4-7917-7440-1

あらゆるものを等しい目線で素描する。
清少納言が『枕草子』で描いた「すばる」は現在のわたしたちが観測するものと同じみえ方をしていたのか? クレオパトラはなぜ真珠を飲めたのか? 古代中国のブランコはどのようにして動いていたのか?
科学者の目で古今東西の文章を渉猟する、サイエンス・エッセイ。
2001年に出版された『天文学と文学のあいだ』を最新の知見に合わせて改稿、書き下ろしの章も加え、新たにリリース!

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[目次]

はじめに――新しい博物学への招待

天 文
第1章 「すばる」――星は すばる
「すばる」望遠鏡 星は すばる ひこぼし ゆふづつ よばひ星 清少納言の虎の巻 行方知らずのプレヤード伝説 すばる満時 すばるの歌

第2章 「れんず」――伸び縮む奇なる眼鏡
レンズマメ 老眼鏡までの道のり 凹レンズの由来 ガリレイの望遠鏡 ケプラーの望遠鏡 望遠鏡と石けん 推理小説の凸レンズ

第3章 「なんてん」――南天の赤き実よ実よ
NANTEN望遠鏡 南天の霊力 邯鄲の枕 ナンテンのヨーロッパ・デビュー 南天と羅漢の寺

第4章 「あわ」――宇治川の水泡さかまき
「泡」の話題ふたたび 泡はうたかたなのか? バブル騒動 宇宙はバブル

物 理
第5章 「じしゃく」――古郷を磁石に探る霞かな
磁石と電気 磁石の歴史 日本の磁石史 歌舞伎と狂言 なぜ、磁石は鉄を引きつけるのか? 原子の世界 地球は磁石

第6章 「ぶらんこ」――ふらんどや桜の花をもちながら
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん ブランコはなぜ揺れる ブランコの起源と呼び名 ブランコが揺れる理由 鞦韆は漕ぐべし

海の生き物
第7章 「しんじゅ」――真珠の見がほし御面
豚に真珠 クレオパトラのイアリング グレシャムの真珠飲み 真珠の効用 養殖真珠の歴史 真珠養殖戦争 真珠の色と光沢 人造真珠 白き玉物語

第8章 「かつお」――つれづれに鰹は食ふな
初鰹 兼好と鰹 鰹の「うま味」 鰹のタタキと鰹節

第9章 「ふぐ」――きのふは過てふくと汁
河豚は食いたし フグ毒 フグにとってフグ毒とは何か 河豚料理 清少納言と紫式部の葛藤

陸の生き物
第10章 「ほたる」――蛍火の鞠の如しや
蛍の光 恋のフラッシュ 螢火 ホタルの生態学

第11章 「たけ」――夕日美し竹の春
筍の刺身 タケとササ 依代としての竹 竹の春夏秋冬 竹の開花 竹の利用 竹のように

第12章 「あさがお」――あさがほに我は食くふをとこ哉
アサガオの花 ホメオスタシス アサガオの体内時計 花のSOS信号 牽牛子から朝顔まで 江戸のアサガオブーム 環境のカナリア

第13章 「ひがんばな」――曼珠沙華二三本
GONSHAN. GONSHAN. 呼び名アレコレ 彼岸花の日本への旅 彼岸花の毒性 歌ことば

新しい版へのあとがき
参考文献

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[著者] 池内了(いけうち・さとる)

1944年、兵庫県生まれ。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。専門は宇宙論、科学技術社会論。世界平和アピール七人委員会の委員でもあり、長年にわたり科学者の立場から平和を呼びかけ続けている。『お父さんが話してくれた宇宙の歴史(全4冊)』(岩波書店、1993)で産経児童出版文化賞JR賞、日本科学読物賞を、『科学の考え方・学び方』(岩波ジュニア新書、1997)で科学出版賞(講談社)、産経児童出版文化賞推薦を、『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』(みすず書房、2019)で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。そのほかの著書に『ふだん着の寺田寅彦』(平凡社、2020)、『寺田寅彦と現代 新装版』(みすず書房、2020)などがある。