定価3,960円(本体3,600円)
発売日2022年2月4日
ISBN978-4-7917-7441-8
イスラーム世界において医学はいかなる発展をとげたのか
九世紀以降、イスラーム医学はヘレニズム医学を継承し、再編成することにより独自の発展を遂げていった。イブン・スィーナー、ラーズィー、マイモニデスをはじめとした医師たちの業績をひもとき、医学史、医学理論から感染症対策、食餌療法、魔術や占星学まで扱いその歩みを明らかにする。イスラーム医学研究の基本書にして科学史研究の重要書。
[目次]
まえがき
序文
第1章 イスラーム以前のアラビア半島とウマイヤ朝期の医療状況
第2章 翻訳の時代
ギリシア語作品 シリア語作品 ペルシア語作品 インドの作品 経過 漂石 科学用語の推敲 ギリシア的信条のイスラーム化 失われたギリシア語テクストの復活
第3章 アラビア医学史概観
西洋でのアラビア医学の影響
第4章 生理学と解剖学
元素 気質 四体液al-akhlāṭ 能力 プネウマ 概括 血液の流れ 解剖学
第5章 病理学
第6章 病気や疫病の感染性
第7章 食餌療法と薬剤学
食餌療法 薬剤学
第8章 医学と秘術信仰
医学と占星術
文献略号
参考文献
訳者解説・あとがき
図版出典一覧
医学用語索引
書名索引
地名索引
人名索引
[著者]マンフレッド・ウルマン(Manfred Ullmann)
1931年生まれ。元チュービンゲン大学教授。専門はアラビア語学、古典文献学。1959年博士号取得、1965年教授資格取得。ゲッティンゲン人文・科学アカデミーやバイエルン州立科学アカデミーに所属。アラビア科学、イスラーム科学に関する著作、論文多数。主な業績として、『古典アラビア語辞典』Wörterbuch der Klassischen Arabischen Sprache, Wiesbaden, 1957-.『イスラームにおける医学』Die Medizin im Islam, Leiden-Köln, 1970.『イスラームにおける自然科学と秘教科学』Die Natur- und Geheimwissenschaften im Islam, Leiden-Köln, 1972.がある(いずれも未邦訳)。
[訳者]橋爪烈(はしづめ・れつ)
1975年生まれ。千葉科学大学危機管理学部講師。専門はアラブ・イスラーム史、イスラーム政治思想史。博士(文学)。学習院大学文学部史学科卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻東洋史分野修士課程修了後、カイロ大学へ留学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程学位取得。日本学術振興会特別研究員(PD・公益財団法人東洋文庫)を経て、2012年より現職。単著に『ブワイフ朝の政権構造――イスラーム王朝の支配の正当性と権力基盤』(慶應義塾大学出版会、2016年)、訳書に『イスラームの誕生――信仰者からムスリムへ』(慶應義塾大学出版会、2014年、共訳)『イスラーム神学における信の構造――イーマーンとイスラームの意味論的分析』(慶應義塾大学出版会、2018年、共訳)がある。
[訳者]中島愛里奈(なかじま・えりな)
1998年生まれ。学習院大学文学部史学科卒業。東洋史学専攻(東南アジア近現代史)。