現代思想2021年12月臨時増刊号 総特集=ドストエフスキー

-生誕二〇〇年-

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現代思想2021年12月臨時増刊号 総特集=ドストエフスキー

定価3,080円(本体2,800円)

発売日2021年11月26日

ISBN978-4-7917-1422-3

「200歳のドストエフスキー」像に迫る
本年はドストエフスキー生誕200年という記念すべき年にあたる。われわれはドストエフスキーからいかなる思想的課題を引き継ぐことができるのか。超一級の布陣にて難渋な作品を迎え撃ちながら、その魅力に迫る。
亀山郁夫・望月哲男・番場俊・越野剛責任編集

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【Kinldle版をご利用のお客様に向けてのお願い】
『現代思想』2021年12月臨時増刊号「総特集*ドストエフスキー」に関しまして、本文内註をタップしてポップアップによる註本文を表示いただいた際に、本来横組みで表示されるべきところ、ロシア語部分が縦組みにて表示される場合がございます。これは、弊誌の縦組みのリーディングシステム上、ロシア語部分を画像化して処理しておりますために起こる現象です。その際には大変お手数ではございますが、各記事末尾の註本文をあわせてご参照いただけますと幸甚に存じます。

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[目次]

【エッセイ】
東 浩紀  ドストエフスキーと偽物の世界 
石沢麻依 ドストエフスキーの月と蛾 
大澤真幸 ドストエフスキーの二つにして一つのテーマ――神と金  
河野通和 『未成年』との再々会 
小森陽一 文学的な父と子――ドストイェフスキイと二葉亭四迷 
斎藤 環  「ポリフォニー」の臨界域 
佐藤 優 時代状況の悪化がドストエフスキー・ブームをもたらしている 
杉田俊介 ドストエフスキー・マルクス・ダーウィン 
野田秀樹 『贋作・罪と罰』の罪と罰 
三田誠広 ドストエフスキーと埴谷雄高 
四方田犬彦 ドストエフスキーの余白に 

【討議1】
中村文則+亀山郁夫 ドストエフスキーは生き残れるか? 
亀山郁夫 運命論の罠――中村文則『カード師』書評 

【ドストエフスキー・テクスト】
F・ドストエフスキー/亀山郁夫訳  商人スコトボイニコフの物語――ドストエフスキー『未成年』第三部第三章より 

【討議2】
望月哲男+越野 剛+沼野充義+番場 俊+亀山郁夫  二〇〇歳のドストエフスキー

【研究の前線から――世界からのメッセージ】
S・アローエ/赤渕里沙子訳 現代人の意識の《風土病》 
C・アポローニオ/泊野竜一訳 第三世紀の間際で 
N・アシンバーエワ/桜井厚二訳 われらが永遠の同時代人
I・エサウーロフ/金沢友緒訳 ロシア文化の大きな時間におけるドストエフスキー 
P・フォーキン/赤渕里沙子訳  使徒としての務め、その現代性をめぐって 
B・バロス=ガルシア/桜井厚二訳 ドストエフスキー文学の普遍性 
A・A・ゴンサレス/内田兆史訳 答えのないままの問い 
T・カサートキナ/齋須直人訳  「人格」による世界の変容

R・F・ミラー/桜井厚二訳  私にとって(あなたたちにとっても)親密なドストエフスキー
E・ノヴィコワ/桜井厚二訳  現代ポストコロニアル概念の文脈におけるドストエフスキーの「東方」の多義的問題L・サラスキナ/田中沙季訳 「新しい旋毛虫のようなものが現れて……」 
B・チホミーロフ/桜井厚二訳 ドストエフスキーの道筋と、その現代的需要 
V・ヴェトロフスカヤ/田中沙季訳 「ある究極の一点で……」 
V・ザハーロフ/齋須直人訳  ドストエフスキーの新しい言葉 

【越境するドストエフスキー】
甲斐清高 『罪と罰』、「マーカイム」、そして『ジキルとハイド』 
白井史人 ドストエフスキー・オペラの男たち――救済なき時代の戯画 
林 良児  フランス文学とドストエフスキー 
高橋健一郎  ドストエフスキーと音楽 
S・アローエ/甲斐清高訳 黒澤明『白痴』に関する覚書 
大平陽一 越境する『白夜』の夢想家――アダプテーションによる原作の(過剰)解釈について 
梅垣昌子 ドストエフスキーの文学遺伝子――映像表現における表層の反復と融合 

【研究と批評――新たな古典】
T・カサートキナ/木寺律子訳 世界を救うのは美である……
S・フォルティ/伊藤達也訳 新-悪霊(抄)――悪と権力の再考 

【ドストエフスキー研究の歴史をつなぐ】
木下豊房 ロシア民衆の宗教意識の淵源――正教思想の伏水脈「ヘシュカスム(静寂主義)」とドストエフスキー 
高橋誠一郎  「大審問官」のテーマと核兵器の廃絶――堀田善衞のドストエフスキー観 
福井勝也  未来からの挨拶 Back to the Future――堀田善衞のドストエフスキー 
萩原俊治 ありのままに生きる――引きこもりとドストエフスキー 
乗松亨平 ドストエフスキーと共住の思想史――他者との非対話的な関係によせて
齋須直人 ドストエフスキーのキリスト教的価値観と対話的小説世界 
長縄光男 ドストエフスキーとゲルツェン――問題の所在 
越野 剛 ドストエフスキーにおける病気と火事――『白痴』のナスターシャの身振りを再考する 

【作品論】
金沢美知子 『分身』とその構想――バルザック的世界からの展開を読む 
高橋知之 小さな暴君の来歴――『ステパンチコヴォ村とその住人たち』の主人公について 
望月哲男 アクーリカの周辺――『死の家の記録』の風景から 
安岡治子 『地下室の手記』と「キリストの楽園」 
D・マルティンセン/諫早勇一訳  ドストエフスキーの『罪と罰』における恥と罪の意識 
G・S・モーソン/望月哲男訳  時学(テンピクス)と『白痴』 
L・グロスマン/番場 俊訳 スタヴローギンの文体論――『悪霊』の新しい章の研究のために 
亀山郁夫 瓦解と再生のヴィジョン――ドストエフスキー『未成年』における「境界」の想像力 
C・アポローニオ/甲斐清高訳・越野 剛解題 カラマーゾフの母たち