ユリイカ2021年12月号 特集=フレデリック・ワイズマン

-『チチカット・フォーリーズ』から『クレイジーホース・パリ』、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』、そして『ボストン市庁舎』へ…ドキュメンタリー映画監督の軌跡-

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ユリイカ2021年12月号 特集=フレデリック・ワイズマン

定価1,760円(本体1,600円)

発売日2021年11月27日

ISBN978-4-7917-0410-1

最新作『ボストン市庁舎』11月12日公開!!
フレデリック・ワイズマンはひたすら〈そこ〉を撮る――州立刑務所矯正院、高校、少年裁判所、盲ろう学校、シェルター、町、そして公共図書館。ナレーションも字幕も、劇伴も、インタビューもないままに、巨匠はただ膨大に撮る。ただ膨大に撮り、つなぐ、監督としての営為によって、アメリカ合衆国がいかに機能しているのかを明らかにする。まもなく公開となる『ボストン市庁舎』、今年91歳を迎えた巨匠の目は生まれ故郷をどう捉えたのだろうか。「すべては画面のなかにある」。

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【目次】

特集*フレデリック・ワイズマン——『チチカット・フォーリーズ』から『クレイジーホース・パリ』、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』、そして『ボストン市庁舎』へ…ドキュメンタリー映画監督の軌跡
 

❖インタビュー
「とにかく、映画を作ることが好きなんです」――『ボストン市庁舎』インタビュー / フレデリック・ワイズマン

❖討議
集大成のその先へ / 鈴木一誌 冨田三起子

❖記録映画というコンパス
網羅すること/反復すること――ワイズマンと同時代性 / 舩橋 淳
祝福と告発 / 想田和弘

❖論考〈1〉:『ボストン市庁舎』の世界
One of them――『ボストン市庁舎』にみるワイズマン映画のいくつかの形式的特徴 / 三浦哲哉
「観察」の条件 / 佐々木敦
フレデリック・ワイズマンとインスティテューショナルな笑い / 入江哲朗
現場実習へようこそ――ソーシャルワークから『ボストン市庁舎』を問う / 大嶋栄子

❖創作
工場の模型 / 高山羽根子

❖論考〈2〉:再生、反復
突然頭痛に襲われた――『チチカット・フォーリーズ』について / 信田さよ子
『臨死』(Near Death)を貫く慎ましさの「作法」 / 原田麻衣
逆編集されるルーティーン――ワイズマンの『動物園』 / 細馬宏通
〈親密圏の秘密〉を明かすということ――映画『DV』が描く〈ループの世界〉と立ち上がる問い / 坂上香

❖営みのディティール
映画は苦手でも / 小山田浩子
見ないことを学ぶ / 伊藤亜紗
みんなのニューヨーク / 佐久間裕美子

❖座談会
話すことと聞くこと――『ボストン市庁舎』の構成をめぐって / 三宅 唱 大川景子 和田清人

❖論考〈3〉:(非)アーカイヴァルな生/活
オペラ的構成とエロスへの躊躇――『クレイジーホース・パリ』の女性たち / 栗原詩子
身体に刻印されたイギリス――『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』を観る / 吉村いづみ
話者の遍在――『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』における移民/クィアのコミュニティ / 菅野優香
民主主義の柱、アクティヴィズムの現場――『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』への小説的アプローチ / 深瀬有希子

❖ある姿勢
ワイズマンと写真 / ホンマタカシ
撮影の領分――ワイズマンのロングインタビューを読んで / 金川晋吾

❖論考〈4〉:ワイズマンが撮るトポス
権力はいかに実践されるか?――ワイズマンによるフーコー/フーコーによるワイズマン / 北小路隆志
肉とノイズ――フレデリック・ワイズマン映画の音風景 / 長門洋平
『アメリカン・ユートピア』と共鳴する二一世紀のフレデリック・ワイズマン――ユートピアへの道は、音楽とダンスとともに / 上原輝樹

❖資料
フレデリック・ワイズマン作品解題 / 水野祥子

 

■忘れられぬ人々*2
故旧哀傷・遠藤麟一朗(二) / 中村稔

■物語を食べる*11
自己家畜化と道徳の発生 / 赤坂憲雄

■詩
ねむの木の祈り / 下西風澄

■今月の作品
鎌田尚美・nostalghia・ZZ・倶舎那・ピエルロモント・明石裕里 / 選=和合亮一

■われ発見せり
棒読みの愉悦をたどる / 河野咲子

 

表紙・目次・扉=北岡誠吾
表紙・特集扉画像=『ボストン市庁舎』11月12日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ他全国順次公開! 配給:ミモザフィルムズ、ムヴィオラ © 2020 Puritan Films, LLC – All Rights Reserved